研究×実践はワンチーム!~一歩踏み出す、遺族ケア・グリーフケア~【JTCAセミナー】
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2024年3月7日、JTCAセミナー「研究×実践はワンチーム ~一歩踏み出す、遺族ケア・グリーフケア~」 を開催しました。
臨床において
「なんとなく気になる家族がいるけど、どうアプローチすればいいのかな」
「遺族への介入ってどうすればいいんだろう」
という疑問を感じることがあると思います。
青山先生のご講義では改めて知識や概念を学び直し、普段のケアを振り返る充実したセミナーとなりました。
講師
東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻
緩和ケア看護学分野
青山 真帆 先生
悲しい時に気持ちがゆらぐのは自然なこと
前半は以下について講義していただきました。
グリーフの4つの反応
死別への対処の二重過程モデル
悲嘆のプロセス
複雑性悲嘆と健康障害
前半の講義では、悲嘆のプロセスとコーピング、複雑性悲嘆、などについてのお話がありました。
悲嘆や、そのプロセスにおける揺らぎはごく自然な反応です。
また悲嘆の表出には、悲しんで泣くことだけでなく「泣きたいのに泣けない」など、個人差があります。
病的悲嘆ではなくとも、日常生活に支障を来していそうなご遺族や何らかの不健康行動があるご遺族に対するケアがとても大切であるということを学びました。
家族が真に求めていることは
後半は以下について講義していただきました。
研究の紹介
家族のニーズ
予期悲嘆
グリーフケアの実際
後半は、研究結果を振り返ることで、ご家族の真のニーズが見えてくる内容でした。
ご家族は医療者に、患者さんの病態・病状・これからの変化についての誠実で分かりやすい説明を求めている。
また、看取りに間に合うことは、立ち合いそのものよりも、患者さんとご家族のコミュニケーションがそこに存在することに大きな意味があると示されていました。
グリーフケアは、亡くなった後だけではなく、ご本人が療養されている時期からの継続的な関りが大事です。
医療者の関わり方や、患者さんとご家族との過ごし方が、死別後のグリーフに大きく影響します。
いつも当たり前に実践しているケアや関わりが、エビデンスに基づいているものだと知ることは、受講生の皆さんのケアの裏付けとなり自信につながったのではないでしょうか。
講義を振り返って
遺族ケアとは、「人が人を大切に思う」営みそのものです。
ありふれた日常ケアの中にこそ、ご遺族を救う言葉や行動があります。
皆さんから届いた感想からも、グリーフケアに対する関心の深さと、ケアへの熱い思いが伝わってきました。
青山先生のご講義が、皆さんのケアを患者さんとご家族の幸せにより一層貢献できるものに導いてくださる。
そんな実りのある時間となりました。
参加した皆さまの感想
Aさん
喪失体験は日常でも体験しますが、自分がどう対処しながら過ごしてきたのかを振り返る機会となりました。
Bさん
自分がやってきたケアに間違いはなかったと再認識できました。
Cさん
グリーフケアは悲しいものというイメージがありましたが、寄り添ってサポートできるケアにしていきたいと思います。
【終末期ケア専門士】について
終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。