認知症の回想法|一般社団法人日本終末期ケア協会

認知症の回想法

2024.4.23 JTCAゼミ

目次

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回想法について

回想法は、認知症の非薬物療法のひとつであり、過去の思い出や体験を振り返ることで、脳の活性化や精神的な健康の向上を図る方法です。
認知症の予防や進行を遅らせる効果があります。

一方、薬物療法は薬を使用して認知症の症状を抑えるものです。

どちらも一長一短がありますが、認知症の治療は、回想法と薬物療法を組み合わせて行っていくことが重要とされています。

認知症の症状により忘れることが多くなっている中、回想法で「確認すること」や「思い出すこと」が脳を活性化させます。
その他、昔の自分や楽しい思い出など、自分の人生を誰かに話すことは、本人にとって楽しいものであり、ポジティブな感情を生み出します。

回想法には、以下の種類があります。

個人回想法

日常会話の中で過去を振り返ります。個人で行うため、グループで行うよりも深く話を聞けるメリットがあります。

グループ回想法

基本的に6~8人程度で行います。順番に生い立ちを話し合ったり、懐かしい写真を持ち寄ったりします。

音楽回想法

懐かしい音楽を聴くことで過去を思い出します。音楽は大脳皮質を介して情動に働きかけるため回想法に有効です。

高齢者への心理的効果

家族と共に過ごす時間は貴重です。
特に高齢者や認知症の方と一緒にいる場合、回想法を用いることで心の豊かさを感じることができます。

思い出話をする際には、写真や昔の音楽を聴くなど、過去の出来事を振り返るきっかけを作るとよいでしょう。
家族で過ごした楽しい思い出や大切な人との出来事の共有は、家族のコミュニケーションを円滑にし、精神的な安定をもたらします。
そのため、家族の絆を深めると同時に、心の健康もサポートすることができます。

認知症に対するリハビリ効果

回想法は記憶力をトレーニングするために有効です。

特に高齢者や認知症の方の記憶力の維持や改善に役立つとされています。
過去の話をしたり、思い出の品を見たりすることで脳の血流が増えることが分かっています。

回想法を続けていくことで認知症症状の改善が期待できるため、介護職や家族が日常生活に取り入れることが重要です。
また、記憶力の向上だけではなく、心のリハビリテーションや精神の安定にもつながります。

日常生活に取り入れるためのポイント

・できれば日常と切り離された環境を選ぶ

・初めにテーマを決める

・「話すこと」をゴールにする

・小さな幸せや喜びを意識的に振り返る

・振り返りながら、ポジティブな要素を見つける

・過去の出来事を振り返るだけではなく、その中から学びや感謝の気持ちを見つける

・心地よいと感じているタイミングを見計らい「クロージングを意識する」

 (クロージングとは回想法の締めくくりを指す言葉です)

注意点

・回想する時間とそうでない時間の区切りをつけることで記憶の混乱を防ぐ

・疲れ果てるまで話を続けない

・嫌な思い出を無理に話させない

・否定しない

 

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