ユマニチュードの「4つの柱」と「5つのステップ」|一般社団法人日本終末期ケア協会

 ユマニチュードの「4つの柱」と「5つのステップ」

2024.5.14 JTCAゼミ

目次

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ユマニチュードとは

1979年に、二人のフランス人が生み出したケア技法です。

ユマニチュードは、フランス語で「人間らしさ」を意味します。
「人間としての尊厳」と「その人らしさ」を大切にし、「あなたを大切に思っています」「あなたはここにいますよ」というケアを行う人の優しい気持ちを伝える技法であるとともに、ポジティブな関係を構築するためのケアの哲学でもあります。

ケアを必要とする全ての人が対象となるケア技法ですが、今回は認知症ケアとユマニチュードについてとりあげてみました。

介護に活かすユマニチュード

ユマニチュードを実践する際の基本は、「4つの柱」と「5つのステップ」です

ユマニチュードの「4つの柱」

見る

 ・同じ目の高さでみる(平等な存在)
 ・近くから見る(親しい関係)
 ・正面から見る(相手に対して正直)

見る」ことで『あなたを大切に思っています』というメッセージを伝えます。
「見ない」ことは、『あなたは存在していない』というメッセージになってしまいます。

話す

 ・低めの声で話す(安定した関係の実現)
 ・大きすぎない声量(穏やかな状況の実現)
 ・前向きな言葉を選ぶ(心地よい状態の実現)
 ・相手から返事がなくても無言にならない(心地よい時間の共有)

優しさを届けるためには、ケアの場に言葉をあふれさせる工夫が必要です。
無言は『あなたは存在していない』という否定的なメッセージになってしまいます。

触れる

 ・広い面積で触れる
 ・掴まない
 ・ゆっくりと手を動かす
 ・背中や肩などから触れ、手や顔など敏感な場所にいきなり触れない

掴む行為は自由を奪うことを意味し、認知症行動心理症状(妄想・徘徊・ケアへの抵抗など)のきっかけになります。

※「見る」「話す」「触れる」は、できるだけ同時に行うのがよいです。

立つ

 ・骨粗しょう症の予防
 ・筋力維持
 ・循環状態の改善
 ・肺の容積を増やす

ユマニチュードでは、「一日20分立つ時間を作れば、寝たきりにならずに立つ機能を維持できる」としています。

ユマニチュードの「5つのステップ」

ステップⅠ:出会いの準備…自分の来訪を知らせる

・3回ノックする
・3秒待つ
・返事があれば1回ノックして入る
・ベッドボードをノックする

認知症の人は判断や理解に時間がかかることがあるため、待つことが大切です

ステップⅡ:ケアの準備…ケアの合意を得る

・まず「会えてうれしい」気持ちを伝えます。いきなりケアの話はしない
・「見る」「話す」「触れる」を使い20秒から3分程度でケアの合意を得ます
・合意が得られなければケアは行いません。諦めることも技術です

良い関係を築くために、相手が嫌がることは行いません。

ステップⅢ:知覚の連結…合意が得られたらケアの実施

・ケア中は、常に「見る」「話す」「触れる」のうち2つを行います
・五感から得られる情報は常に同じ意味を伝えること
・ケア提供者が行っている動作を言葉にしながら行う

少なくとも二つ以上の感覚へ、調和的でポジティブな情報を伝え続けることが大切です

ステップⅣ:感情の固定…共に良い時間を過ごしたことを一緒に振り返る

・「気持ち良かったですね」
・「協力してくださいましたね」
・「お話しできて楽しかったです」などを伝える

ポジティブな「感情記憶」を残す

ステップⅤ:再会の約束…約束をすることで次のケアを行いやすくします

・「また明日、12時にきますね」など具体的に伝えます

覚えてもらえるようにカレンダーなどに書き込むと良いです

認知症ケアに対するユマニチュードの効果

認知症ケアにユマニチュードを活用することで、ケアを受ける人・行う人の双方に以下の効果が期待できます。

ケアを受ける人

・精神状態が落ち着く
・攻撃的な症状が治る
・認知症の症状の改善
・身体機能の維持

心に寄り添うことで、安心・信頼などポジティブな感情を抱きやすくなります。

ケアを行う人

・精神的な負担が減る
・良好な関係を築くことでケアがスムーズに行えるようになる

ケアの無理強いがなくなり、罪悪感が少なくなります。

 

【終末期ケア専門士】について

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終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。

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時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。

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