死生学と看護|一般社団法人日本終末期ケア協会

 死生学と看護

2024.6.4 JTCAゼミ

目次

死生学とは

死生学とは「死や命に関連したテーマを扱うことで、生きるとは何かを考える学問」です。

「生き死に」に良し悪しはありません。
死と向き合うことは、 どう生きるかを問う、ということです。

死別・悲嘆・尊厳死・臨死体験・終末がん患者へのケア・死生観・死後の世界・自殺・孤独死・命の教育・震災・トラウマ・脳死・・・・など。

こうして挙げていくと、死と命に関連するさまざまなテーマが存在するのが分かります。

死生学の目的は「死に関連したテーマから、生きるとは何かを考えること」であり、 死のみに焦点を当てた学問ではないことを心得ておきましょう。

臨床における死生観

死生観を考えるうえで看護師や医療従事者に求められることは、さまざまな場面において、自分自身の死生観を振り返り、思考を重ね、広げていき、患者さんそれぞれの思いに臨機応変に対応していく姿勢です。

姿勢(スタンス)

目の前の人ありき

目の前にいる人の思いを、何とかかたちにしていくことに重きを置く。

伴走

意思決定など重要な場面で、何かを選択することは、迷いや不安など、大きな苦悩を伴います。

しかし、あくまでも生き死にを背負っている患者さん本人が、その人生の主人公です。

患者さんの思いを置き去りに医療者が先行することなく、その人の抱える戸惑いに配慮しながら伴走することが重要です。

全肯定

人生の主人公である患者さんは、いかなる状況においても否定されようのない存在であり、他の誰もその人の「生き死に」に、良し悪しをつけることはできません。
ありのままの患者さんを受け入れる姿勢が大切です。

自己理解

なぜその現場に関わり続けるのかを自問自答し、医療者の思う望ましい方向性を押し付けないことが大切です。
自己の傾向はどうか、理解しておきましょう。

関係性

医療者と患者さんとの関係は、支える・支えられるという一方的なものではなく、医療従事者も患者さんから多くを学びエネルギーをもらう相関関係にあります。

また、普遍の死を持つ同じ存在であることに変わりはないのです。

これらを踏まえ、専門性を活かしながら、終末期にある人が「その人らしい自分」であり続けられるように関わることが大切です。

医療者は、「生き死に」の主人公である患者さんの思いを、何とか形にしていくプロセスの中で、さまざまな学びを得ます。
特に終末期では、患者さんこそが生きることを見つめる「先生」であると言えるでしょう。

QOD(Quality of Death/Dying)

皆さんはQODという言葉を知っていますか?

死という自然の摂理は変えられません。
でも心の持ちようで、どのように最期までを過ごすのかは違ってきます。

死が間近に迫った場合には、「その人らしく生活できているか」という「QOL」よりも、どのように死を迎えるかに焦点を当てた「QOD」という考え方が注目されています。
これは死の一時点ではなく、亡くなるまでの過程や遺族ケアも含みます。

そして、いかにその人らしく死を迎えるか、という終末期の質を表しています。
遺言を残す、人生を振り返る、また家族や仲間とコミュニケーションをとることなどでQODの質が高まるといわれています。

終末期の患者さんは、死の過程で経験する苦痛、不安、大切な人との別れに対する寂しさや悲しみ、死に対する恐怖など複雑に絡み合う感情を受け止めています。
その人らしい最期を迎えるために、多角的な視点で寄り添い、QODを意識した関わりがとても大切になります。

 

【終末期ケア専門士】について

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終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。

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時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

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