終末期ケア専門士という道標
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価値ある時間を届けたい
2020年に第1回の認定試験を皮切りにスタートした、終末期ケア専門士。
2024年2月現在、日本全国で約10,000人の終末期ケア専門士が誕生し、活躍しています。
終末期ケアの概念や対象も広がりを見せており、ケアする人々にとって、終末期ケアへの学びの関心が高まっている証だと思います。
専門職が多忙な業務の合間に自分で学びの時間を作ることは難しい。
何から勉強すればいいのかわからない。
始めたい気持ちはあるけれど、一歩先に進むきっかけがない。
そんな、専門職としての“誇り”と“現実”。
そのギャップを埋める方法はないか。そんな課題からいまの学びのカタチが作られていきました。
共に学び合う時間を通じて、ハッと気づいたり、励ましてもらったりする時間。
講師を身近に感じることで、学びを自分の中に染み込ませていく時間。
わたしたちは、みなさんに『学び』だけではなく、『時間』を届けたい。
共に過ごしてきたこの3年間を振り返り、いまは強くそう思います。
自分のココロを、自分でヒアリングする学びを
6万8400時間。これが何の数字かご存じでしょうか。
これは、正社員が一生涯に職場で過ごす時間です。
わたしたちはこの膨大な時間を“ケアをする立場”として過ごしているのです。
人の命を守り、生活を支える仕事をしている限り、人の命の在り方や終え方に向き合い続ける。
それが私たちのライフワークともいえるでしょう。
だからこそ、学ぶ苦しさではなく、探求する楽しさを伝えたい。
そう考えています。
終末期ケア専門士の学習構造は、以下の4点で作られています。
- 現場に使える知識を学べる
- 自分自身を振り返り、じっくり内省できる時間となる
- ケアする側も、認められ、応援される存在であることを実感できる
- 小さなことでも、自分の中にある“伸びしろ”が見つかる
学びは宝探しです。
自分の中にある宝を、自分自身で見つけることはとても難しい。
その気づきに不可欠なものが、『人との出会い』です。
自分に似た人も、自分と全然違う考え方の人も、自分の知らないストーリーも、新しい出会いすべてが宝探しにおいては大切なシーンになります。
終末期ケア専門士のみなさんに、学びの場を通じていろんな人たちと出会っていただき、自分の『ホンネ』をみつけてほしい。
忙しさや自信のなさ、チャンスのなさで隠れてしまっている『ホンネ』を自分自身でヒアリングしてあげる。
終末期ケア専門士にとどまらず、現代はこういう時間が少なすぎるのだと思います。
そんな時間を作っていきたいと思っています。
ケアする人の豊かさが、ケアの豊かさになる
ケアする人の豊かさってなんでしょうか。
専門的な知識をたくさん持っていること。最新の情報を使いこなせること。
もちろんそれも、質のいいケアにつながります。
知識の習得は専門職として努力義務ともいえます。
ただ、知識だけではイロトリドリな人生を送ってきた人々を支援するには限界があるでしょう。
ケアする人が自分自身を大切にし、自分のいい部分も足りなさも知っていること。
自分自身を内省できる心の豊かさを持っているかどうか。これはとても大切な要素だと思います。
内省は、ただの反省とは違います。
ネガティブに物事を捉えるのではなく、足りなさや不確かさもありのままの自分として受け入れる。
そのプロセス自体が探求心を生み、ケアの引き出しを増やすことにつながります。
内省の習慣化は、何歳からでも成長させていくことができる“スキル”の一つです。
このような理念の下、学びの支援を続けてきました。
この学習方法は、終末期ケア専門士のみなさんと培ってきた大切な宝物です。
1人でも多くの方の道標になれる、そんな協会のカタチを今後も目指していきたいと思います。
【終末期ケア専門士】について
終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。