「“いのちを支える優しさ”─小児緩和ケアから学ぶ、寄り添うケアの本質」
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2025年11月28日(金) 学びLabo「小児緩和ケアが教えてくれること~成人の緩和ケアに活かす優しさと支援のかたち~」を開催しました。
講師紹介
小児看護専門看護師
志藤 千晴 先生

小児緩和ケアが教えてくれる“いのち”の尊さ
今回の「学びLabo」では、小児看護専門看護師の志藤千晴先生をお迎えし、「小児緩和ケア」という視点から“いのちと希望を支えるケア”について学びました。 小児期の緩和ケアは、病気の進行を止めることが目的ではなく、「その子が自分らしく生ききる」ことを支えるケアです。
講義では、発達段階に応じた痛みの受け止め方や意思決定の支援、家族へのグリーフケアまで、幅広いテーマが取り上げられました。
参加者からは、
「子どもの“生きたい”という思いを、医療者がどう支えるかを考えさせられた」
「小児のケアは特別なものではなく、“人として向き合う姿勢”が大切だと感じた」
といった声が多く寄せられました。

“痛みを訴えられない”子どもにどう寄り添うか
講義では、小児特有の痛みの表現や訴えの難しさが紹介されました。
たとえば、「思春期の子は痛みを恥ずかしいと感じて我慢してしまう」など、
年齢や発達段階によって痛みの表し方が異なることが強調されました。
「子どもの“声なき声”を聞くことの大切さを改めて感じた」
「痛みの裏にある恐怖や不安に気づけるようになりたい」
というコメントも多く、“言葉にならないサインを見逃さない力”が求められることを、多くの参加者が実感しました。
Aちゃんの物語が教えてくれた“希望の力”
セミナーで紹介された、ある女の子Aちゃんのエピソードが参加者の心に深く残りました。
高校受験を目指しながらも病気と向き合ったAちゃん。
その夢を支えるために、医療者や家族、学校、地域が一体となってサポートした姿に、多くの参加者が涙しました。
「Aちゃんの『高校に行きたい』という思いを叶えるため、周囲が同じ方向を向いて支えたことに感動した」
「“希望が生命をつなぐ”という言葉の意味を実感した」
「子どもが夢を持ち続ける姿は、成人の終末期ケアにも通じる」
という声が多く寄せられました。
志藤先生は、
「やりきったから亡くなるのではなく、目標を持つからこそ生ききれる」
と語り、子どもが“今”を生きる力を引き出す支援の大切さを伝えられました。
成人ケアにも活かせる“小児ケアのまなざし”
参加者の多くは成人や高齢者ケアの現場に従事しており、
「小児緩和ケアから成人ケアへの応用」への気づきも多く寄せられました。
「小児の緩和ケアは、成人の終末期ケアにも通じる」
「希望を持ち続ける支援は、年齢に関係なく必要だと感じた」
「小児ケアでの“優しさとチーム力”は、成人ケアの理想でもある」 といった意見が並びました。
講義では、発達段階を踏まえたACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性にも触れられ、
「本人と家族の希望をどう形にするか」という問いが、改めて共有されました。

現場での悩み─「寄り添う」ことの難しさ
参加者からは、
「小児の看取りを経験することは少ないが、成人ケアにも重なる学びが多かった」
という意見が多数ありました。
「特養で看取りをしているが、年齢に関係なく、別れは苦しい」
「小児でも成人でも、家族の悲しみに寄り添う力を磨きたい」
“グリーフケア”の必要性を再認識した声も多く、
「ケアする人もケアされる存在である」という志藤先生の言葉に救われたという意見もありました。
おわりに─「希望を支える看護」を目指して
今回のセミナーは、“小児緩和ケア”というテーマを通じて、
「どの世代のケアにも通じる“いのちへのまなざし”」を感じさせる時間となりました。
志藤先生が最後に語られた、
「子どもが“今日を生きる”ためにできることを一緒に考える」
という言葉は、看護・介護・医療に携わるすべての人に響くメッセージでした。
“希望をつなぐケア”は、年齢を超えてすべてのいのちに通じる。
日本終末期ケア協会は、これからも「寄り添う力」を育む学びを発信していきます。
【終末期ケア専門士】について

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。