「“呼吸”に寄り添うケア─リハビリがつなぐ“いのち”と“暮らし”」|一般社団法人日本終末期ケア協会

「“呼吸”に寄り添うケア─リハビリがつなぐ“いのち”と“暮らし”」

2025.12.4 イベント

目次

2025年11月19日(水) 学びLabo「~呼吸器疾患の終末期に挑む!~カギとなるのは呼吸リハビリテーション~」を開催しました。

講師

東京医療学院大学 保健医療学部リハビリテーション学科

基礎教員 准教授 秋保 光利 先生

「答えは医療者の中にはない」─終末期リハビリの本質に迫る

今回の学びLaboでは、東京医療学院大学の秋保光利先生をお迎えし、呼吸器疾患の終末期におけるリハビリテーションのあり方について学びました。
講義は「急性期・在宅期・終末期」という3つのフェーズを軸に展開され、それぞれの時期における呼吸リハビリの目的・注意点・患者支援のあり方が具体的に紹介されました。

先生が語られた印象的な言葉―

答えは医療者の中にはなく、患者さんの中にある

この言葉に、多くの参加者が深くうなずきました。

「リハビリをやる・やらないは、患者さんが決めることだと心に響いた」

「終末期のリハビリは“何をするか”ではなく、“どう寄り添うか”だと気づいた」

という声が寄せられました。

現場で直面する“迷い”─どこまで関わるべきか

終末期の呼吸リハビリでは、「どこまで介入するか」が現場の葛藤として多く挙げられました。

「苦しいときにリハビリを進めていいのか迷うことが多い」

「終末期でも“動く”ことの意味を患者さんと共有する難しさを感じている」

など、参加者の日々のケアのなかでの悩みが多く見られました。
秋保先生は、講義の中で症例を通して「動くことは“治療”であると同時に“生活”である」と述べられました。
急性期では「安全な活動の再開」、在宅期では「生活の継続」、そして終末期では「安楽と希望の維持」を目的とする―

この“目標の変化”こそが呼吸リハビリの本質だと説かれました。

参加者の気づき─「リハビリは“生き方”を支えること」

セミナーでは、ワッサーマンの歯車(呼吸・循環・代謝の連動)をもとに、「呼吸とは、身体だけでなく“生きる力”を支える営み」であることが解説されました。
参加者からは、

「リハビリとは“人生を取り戻すこと”という言葉が心に残った」

「ストレッチや風を当てるなど、わずかな工夫で呼吸苦が軽減できることを学んだ」

「“リハビリは希望”という言葉を患者さんにも伝えたい」

といった声が数多く寄せられました。

特に「呼吸困難の緩和には個別性があり、患者によって異なるアプローチが必要」という気づきが多く挙がり、リラクゼーションやマッサージなど“手当て”の重要性を再認識する機会となりました。

“現場でできること”を考える─ケアに込める手と心

今回のセミナーでは、理学療法士だけでなく、看護師・介護士など多職種の参加者が多く、「自分の職種でもできることを見つけたい」という声が相次ぎました。

「ストレッチや風をあてるだけでも呼吸が楽になることを知り、明日から実践したい」

「終末期に“何もしない”ではなく、“そばにいる”ことも支援のひとつだと感じた」

終末期リハビリの目的は、機能改善ではなく“その人が自分らしく生ききるための支援”である―
先生の温かいメッセージは、参加者一人ひとりの心に深く響きました。

おわりに─呼吸リハビリがつなぐ「希望」

呼吸リハビリテーションは、病態が進行しても、呼吸・運動・生活をつなぐ営みとして続いていきます。
秋保先生の講義で示された「急性期では“安全”、在宅期では“生活”、終末期では“安楽”を支える」という視点は、医療とケアの両側面をつなぐ新たな指針となりました。

「リハビリは、希望を届けるケア」

日本終末期ケア協会は、現場で悩みながらも患者と向き合う皆さんを、これからも応援し続けます。

第7回
終末期ケア専門士認定試験

受験申込期間

2026年3月27日~9月20日

試験実施日

2026年10月9日~10月31日

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【終末期ケア専門士】について

「終末期ケア」はもっと自由になれる|日本終末期ケア協会

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。

これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。

時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。

エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。

終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。