「福祉と医療がつながるとき、“暮らし”が変わる」──現場の声から見えた支援のかたち|一般社団法人日本終末期ケア協会

「福祉と医療がつながるとき、“暮らし”が変わる」──現場の声から見えた支援のかたち

2025.11.7 イベント

目次

第6回
終末期ケア専門士認定試験

受験申込期間

2025年3月28日~9月20日

試験実施日

2025年10月10日~31日

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2025年10月21日(火) 学びLabo「社会福祉と医療が繋がり合うために必要なこと~QOLを高める鍵は医療+福祉のチカラ~」を開催しました。

講師

名古屋芸術大学 教育学部 子ども学科

教授 

鶴野 隆浩 先生

医療と福祉の“線”がつながるときに見えた希望

今回は、社会福祉と医療の“つながり”をテーマに、鶴野隆浩先生をお迎えしました。講義は、先生ご自身のご家族との実体験をもとに、教育・福祉・医療の連携がどのように人の暮らしを支えていくのかを語る内容でした。

講義では、人の生活を「個人・家族・地域」の重なりとして捉える視点が紹介されました。この考え方に多くの参加者が共感し、「QOLを高める支援とは、“暮らしそのもの”を支えること」との気づきを得ています。

「医療は“治す”支援、福祉は“暮らす”支援。両者の連携があってこそ支援は完結する」


「福祉の社会性と全体性という言葉が印象的。患者だけでなく家族、地域も支援対象だと再確認した」

参加者が感じた“現場の困りごと”──家族支援のむずかしさ

参加者が感じた“現場の困りごと”──家族支援のむずかしさ

セミナー参加後のアンケートでは、「支援する側も支援の対象である」「家族全体を支える視点が足りていない」という声が多く寄せられました。現場では、患者中心の支援が優先され、家族のケアが後回しになることも少なくありません。

「入院中のご家族のことをもっと聴きたいが、プライバシーの線引きが難しい」


「介護者のための制度が少なく、家族が犠牲になっている現実をどうにかしたい」

先生の講義でも「家族は支援者であると同時に支援の対象でもある」とのメッセージが強調され、参加者の多くが「支援の視点を“家族単位”に広げる必要性」を実感しました。

“つながり”を生むキーワード:全体性と社会性

鶴野先生は、社会福祉を「個人と社会制度の関係をつなぐ仕事」と定義づけ、“自己決定”や“当事者主権”といった概念を、医療と福祉の両面から解説しました。

「医療・福祉・介護・行政・地域がネットワークを作ることで、人が“その人らしく”暮らせる社会になる」

「医療職としても福祉の知識を学び、生活支援の視点を持つことが大切だと感じた」

セミナーでは、在宅医療や在宅福祉を支える「横と縦のネットワーク」や「視点の共有」が紹介され、“医療と福祉が補い合う仕組み”の重要性を実感した参加者が多く見られました。

医療者・福祉職がともに抱える葛藤

参加者の中には、「他職種との連携の難しさ」や「制度の壁」に対する声もあがりました。たとえば、

「社会福祉士の必要性は感じているが、現場ではまだ理解されにくい」

「地域のサービス格差や支援制度の限界を痛感した」

といった意見が挙がっています。

それでも、参加者の多くが「他職種との連携を通じて新しい支援を生み出す力を感じた」と回答し、困難の中にも“希望の芽”を見出している様子が伝わりました。

おわりに──支え合う社会へ

セミナーを通して見えてきたのは、「誰かを支えることは、自分の暮らしを支えることでもある」という共通の想いです。医療と福祉、それぞれの立場がつながり合うことで、支援はより“生活に寄り添う”ものになります。鶴野先生の講義は、現場の困難を抱えながらも、前を向く参加者たちの背中をやさしく押す時間となりました。

医療+福祉のチカラが、人の暮らしを支える。日本終末期ケア協会は、現場で奮闘する皆さまが“つながる”学びの場を、これからも届けていきます。

第6回
終末期ケア専門士認定試験

受験申込期間

2025年3月28日~9月20日

試験実施日

2025年10月10日~31日

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【終末期ケア専門士】について

「終末期ケア」はもっと自由になれる|日本終末期ケア協会

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。

これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。

時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。

エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。

終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。