しあわせ探しの方程式 第2弾 ~患者や専門職を含むQOLを導くコツとは~【学びLabo】
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2024年4月26日(金)、学びLabo「しあわせ探しの方程式 第2弾 ~患者や専門職を含むQOLを導くコツとは~」を開催しました。
高齢者のQOLを検討する中で、話し合うことは重要です。ですが、臨床の現場では時間を確保することが難しく、どのようなカンファレンスがいいのか?といった課題もあると思います。
今回、「高齢患者のQOLを導くための多職種カンファレンスでのポイントを理解する」ことを目標に大浦誠先生にご講義いただきました。
講師
南砺市民病院 総合診療科
大浦 誠 先生
高齢者診療の難しさ
前半は以下について講義していただきました。
Multimorbidity(マルモ):多疾患併存
高齢者のマルモ診療の難しさ
3つのSTEP
マルモのトライアングル
Multimorbidity(マルモ):多疾患併存、高齢者のマルモ診療の難しさについて考えていきます。
高齢者を診療する上での難しさは、多疾患併存が原因にあります。ポリファーマシー、服薬回数の増加、受診・検査回数の増加、ライフスタイルの変化によって、治療に関する患者側の負担は増大してしまいます。
高齢者のマルモ診療では生物学的介入も大切ですが、心理社会的な問題も多く、家族への介入、本人の意思決定が難しいこと、多職種介入が有効な一方、職種が足りないジレンマが挙げられます。また、過剰な生活指導(ポリアドバイス)が逆に本人・家族のモチベーションを下げてしまうことにもなりかねないのです。
解決策として、大浦先生の考案された3つのSTEPである
①プロブレムリスト
②バランスモデル
③四則演算
をもとに、マルモのトライアングルに当てはめて考えることで、高齢者診療への介入がしやすく、患者側の負担も少なくなることを学びました。
カンファレンスとは
後半は以下について講義していただきました。
マルモカンファレンス
マルモカンファレンスについて講義を進めていきます。
前半ではマルモのトライアングルとして3つのSTEPが大切であると講義していただきましたが、実は医療従事者の頭だけでは上手くいかないこともあります。大浦先生は医師であるがゆえ、よりこの問題と直面されてきました。
個別性ある診療をするためには柔軟な頭が必要なところ、
「このままでは考え方が医師アタマになってしまう、従来のカンファレンスから脱却したい!」
と感じた大浦先生は、マルモカンファレンスができる環境を立ち上げられました。
メンバーは医療従事者に限らず、行動経済学者、鍼灸師、アーティスト、画家、看護学生など多岐に渡り、無料で誰でも参加できます。興味のある方は是非、参加されてみてはいかがでしょうか。
講義を振り返って
マルモは、患者・家族側、医療者側の双方にとって大きな課題です。
多業種・多職種の方々の声は、プロブレムリスト、バランスモデル、四則演算には欠かせず、医療従事者の思いつかない視点や発想で溢れたカンファレンスにつながります。 大浦先生のご講義は、マルモの課題を解決する糸口となり、カンファレンスを楽しく、有意義なものにしてくれるのではないでしょうか。
参加した皆様の感想
Aさん
医師だけでは固いカンファレンスになってしまうが、他職種の人とするといろんな意見が出て楽しいものになると思いました。
Bさん
マルモのトライアングルを駆使して多職種が多方面からその人を分析し、ベストなその人らしい治療方法、支援方法を生み出すことが求められている事を認識することが出来ました。
Cさん
プロブレムリストの活用や「つなナラ」の言葉(関係性と物語)について初めて勉強することができ、多職種との連携を含めて仕事でも活用していきたいと思いました。
Dさん
日頃のジレンマを指導でよくしたい思いと、ポリアドバイスが悪循環を与えている症例が浮かび、まさに目から鱗でした。医療職側も幸せ探しができる素敵な講義ありがとうございました。
【終末期ケア専門士】について
終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。