緩和ケアに携わる看護師の役割~家族支援~|一般社団法人日本終末期ケア協会

緩和ケアに携わる看護師の役割~家族支援~

2021.4.9 JTCAゼミ
緩和ケアに携わる看護師の役割~家族支援~

目次

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家族の存在は患者にとって身体的・精神的な大きな支えになります。
ところが支える側の家族が身体的・精神的に大きな負担を抱えてしまうことも多いのです。
WHOでは緩和ケアの定義を「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」としています。
家族は患者とともに苦しみを体験する対象者であり、「第二の患者」として支援することが必要になってきます。

様々な家族支援について

患者は生命を脅かす疾患に罹患した時から臨終まで様々な過程を辿ります。
必要時に家族支援を行いますが、その際は家族の心身の状態を把握したうえで、支援が負担にならないように考慮することが重要になります。
・患者の家族構成を知り、家族の発達プロセスと現在抱えている発達課題について把握することで個別性のある家族ケアを行うことができる。
・患者の病状や心身の変化について早めに説明することで、家族にも今後起こりうる状況を理解することができる。しかし、家族の病気についての受け入れができていない状況での説明は精神的負担が大きくなるため、タイミングが重要になる。
・「患者の側にいたい」、「患者の役に立ちたい」、「感情を表出したい」、「医療者から受容と支持と慰めを得たい」など様々な家族のニーズに気付き、対応していく。
・患者と家族が希望される所で心おきなく過ごせるように環境を整えていく。
・臨死期の諸症状とその対処法について家族と情報共有することで、患者の状況を理解し、落ち着いて見守ることができる。
・近い将来、愛する家族の一員を喪失することが予期される場合、前もって悲嘆し、現実の死別に対する心の準備を促すことで、患者の死が現実になった時の衝撃や悲嘆を軽くするとともに、悲嘆からの立ち直りを早めることができることもある。
・死別後の悲嘆のプロセスを順調に経過し、家族が深い悲しみから立ち直ることができるようサポートをする。

“導く”のではなく“共にある”

緩和ケアは治療のために通っている外来や緩和ケア外来、一般病棟や緩和ケア病棟の入院中や自宅、居宅あるいは居住施設など様々なところで行われています。
同時に家族支援にも視点をおいた関わりが行われています。看護師は患者や家族を取り巻く資源のコーディネーターとして、患者・家族と多職種の架け橋になる重要な役割があります。
家族は、「本人が一番つらいのだから」と気持ちを抑えて中々思いを表出できないことがあります。そこで家族へのケアにおいて重要なのは“導く”ではなく“共にある”ことを感じられるつながりです。

看護師にとって“共にある”とは

家族の思いを察知し、いつでも受け入れること、一人で考え込む必要はないことを伝え、思いを傾聴していくことです。
終末期ケアを学ぶ私たちが自分の家族や友人と“共にある”ことを感じられるつながりを築いていくこと。
それが患者・家族へのケアにもつながっていくことを心に留めておきましょう。

 

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【終末期ケア専門士】について

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時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。

エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。

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