COPD末期で不安やパニックが強いときの対応とは?呼吸困難と向き合う際の考え方
- 目次
はじめに
COPD末期の患者さんと関わるなかで、
呼吸困難そのものだけでなく、
それに伴う不安やパニックへの対応に難しさを感じることがあります。
「呼吸を整えようとしても拒否される」
「セルフモニタリングがうまくいかない」
「動くこと自体に強い恐怖を感じている」
そうした状況に、どう向き合えばよいのか。
本記事では、
日本終末期ケア協会主催のオンラインセミナー「学びLabo」で実際に寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容を、
解釈や要約を加えず、そのまま掲載します。
今回の回答について
本記事は、
セミナーに寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容をもとに構成しています。
COPD末期という特定の状況を想定した質問ではありますが、
不安や恐怖と呼吸困難が結びつく場面は、多くの臨床現場で共通してみられる課題でもあります。
ご注意
本記事で紹介する内容は、考え方や視点の共有を目的としたものです。
実際の対応にあたっては、
患者さんの状態や医師の指示、所属施設・地域のルールを踏まえて判断してください。
質問①
PTです。
COPD末期の方を診ることが多いです。
パニックコントロールやセルフモニタリングが難しいなと感じています。
指導方法で気を付けていることはありますか。
回答
まず口頭指示で呼吸をコントロールすることを試みます
患者さんに吸気と呼気のタイミングを自分の口頭指示に合わせられるように、
徐々に誘導していきます。
パニックになっているとそれすらも嫌がります。
ですので、ひとまずどこか呼吸に邪魔にならないところ、
患者さんが触られて不快にならないところ(個人 によって違うと思いますが)に
手を置きながら呼吸のコントロールが可能かどうかを探っていただき、
可能だと判断したら口頭指示を試みてください。
セラピストの感覚の問題になってしまって申し訳ありませんが、
残念ながら暗黙知的なところがあるかと思います。
ご自身の感性を信じて患者さんと向き合ってください。
口頭指示が功を奏しないとき、PTとして他動時に呼吸のコントロールを試みます(呼吸介助)
パニックを生じている時は、
正直、胸郭を触れられるストレスで、呼吸困難を助長させてしまうかもしれません。
実際、私も何度も患者さんに断られました。
それでも、患者 の呼吸に同調すると呼吸困難が軽減してきます。
正直、この経験をしたことがある方は呼吸困難が強くなると呼吸介助を求めてきます。
ですので、日頃からそのような経験をしていただくことも必要かもしれません。
毎回やる必要はありません。
視覚的ツールの活用
セルフモニタリングはご自身に余裕がない、
もともと面倒なことを嫌う方には非常に重労働だと思います。
どんなものでもいいので、なるべく自動化できる工夫をされた方が良いかと思います。
肯定的なフィードバックと習慣化
成功体験を積み上げてください。
質問②
COPDの方は呼吸困難に恐怖心を持っているので、離床を進めていくことに難しさを感じます。
回答
「苦しいから動けない」という悪循環が生まれやすいのは当たり前のことだと思います。
離床への第一歩は「信頼関係」と「成功体験」です。
対応の工夫
・短時間・低強度の目標から始める
・呼吸困難が強くなる前にやめることで成功体験を重ねる
・離床前後のSpO₂や呼吸回数などを記録し、客観的変化を共有する
・「一緒にやる」ことで安心感を与える(呼吸コントロール・声かけなど)
・必要であれば酸素療法の追加、換気補助の追加を医師と検討する
おわりに
COPD末期における呼吸困難や不安、パニックは、
単に呼吸の問題として切り分けられるものではありません。
「できるようにする」ことだけでなく、
「怖くならないように関わる」
「成功体験を積み重ねる」
そうした視点の積み重ねが、患者さんの安心や次の一歩につながっていくことが示されています。
本記事は、
セミナーにおいて寄せられた質問に対し、
学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容を、
内容を変更せず掲載しています。
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