思いやりの言葉でこころを癒す
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こころを癒す『ことぐすり(言薬)』
「ことぐすり」という言葉をご存知でしょうか?
「ことぐすり(言薬)」とは、医師の大坂巌氏によって提唱されている、「思いやりのある肯定的な言葉を用いることができれば、それは薬になるのではないか」という考え方です。
参考
医療に携わる人の言葉が、ケアを必要とする人への薬にもなることができるのではないか。
患者さんやご家族へのこころの癒し、こころのケアにつながるのではないか。
そういった視点で創り出された言葉が、『言薬』です。
言霊と言薬
日本古来から語られる「言霊」は、言葉を発する人の魂が言葉に宿り、自分や周囲の人々に対して強い影響を与えるという考え方です。
患者さんやご家族のこころを癒し、共に寄り添いながら人生を伴走するためには、良好なコミュニケーションが重要です。
コミュニケーションには言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションがあります。
言語的コミュニケーションにおいて、その人に寄り添うこころのこもった言葉は、患者さんやご家族の力強い支えになります。
身体的治療に薬が処方され、そして、こころの癒しには、私たちケアに携わる者の言葉の力がこころの薬になる。『言薬』ということですね。
マザー・テレサの言葉から考える
言薬の提唱者である大坂氏は、偉人が残した言葉の力として、マザー・テレサの言葉を紹介されています。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから
(マザー・テレサ)
自分が発する言葉は、運命をも変えてしまう。
言葉を発する前によく考えること。 そして言葉は思考から導かれるもの。
自分が出会う出来事に対し、どんな感情を抱いてどんな思考をするのか、もう一度立ち戻って考えることが大切だというメッセージが込められています。
感情は伝播する
誰かと対話するとき、皆さんはどんな感情を抱きますか?
相手の表情や仕草、口調などから、時にはポジティブな感情を抱き、時にはネガティブな感情を抱くかもしれません。
ネガティブな感情を抱いたとき、どんな言葉を発していますか?
もしかしたら冷たい口調になっているかもしれないし、そっけない返答をしているかもしれません。
そんなとき、相手にどんな感情が芽生えるでしょう。
寂しい気持ちになったり、話す勇気がなくなったりするかもしれません。
自分と相手の間のネガティブな言葉が、時に悪循環を起こしてしまうことがありますよね。
では反対に、ポジティブな表情や言葉、明るく優しい口調で相手を思いやりながら会話するとどうでしょう。
相手にもポジティブな感情が伝播して、ポジティブの相乗効果が生まれるかもしれませんね。
皆さんは、どちらの体験もしたことがあるのではないですか?
つまり、自分の思考によって、発する言葉は変化し、発した言葉の力は相手の感情に影響を及ぼす。
そして自分の発した言葉に対するフィードバックが返ってくる。
相手のこころを癒すには、まず自分の感情や思考の傾向を知ることが大切ですね。
11月29日(金)JTCAセミナーに、言薬を提唱された医師の大坂巌先生がご登壇されます。
終末期ケア専門士の皆さま、ぜひご参加ください。
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