KTバランスチャートと摂食嚥下機能評価
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KTバランスチャートとは
KTバランスチャートは、摂食嚥下障害の評価方法の一つです。特別な機器を用いず簡便にできると共に、その人の摂食嚥下障害の状況を包括的に捉えられることが特徴です。
摂食嚥下障害のアプローチは、その人の口腔機能面だけで完結するものではありません。 単に食べる・飲み込む機能だけでなく、「食べたい」と思える意欲も重要です。食事に意欲を向けることが出来なければ食事のリハビリが滞ります。また、介助なしで自分でどのくらい食べることができるかも重要です。
さらに、お腹が空いていなければ食事も進みませんから、その人の活動量も大切な要素になります。このように、その人の食事面について広い視野でとらえて評価するのがKTバランスチャートです。
KTバランスチャートの実際
KTバランスチャートは、「口から食べる」ための要素を4つの視点から13項目に分類しています。それぞれの項目を5段階で評価しグラフ化していきます。評価や変化が可視化され、多職種で情報共有しながら摂食嚥下機能の維持・向上をはかることができます。
基本的な考え方としては、13項目のうち点数の高い項目は維持に努め、点数の低い項目に対して改善する方法を検討します。しかし、がんや神経難病、終末期にある人は点数が下がり、病状によっては改善が困難な場合もあります。その状況においてもQOLを向上させるために何ができるかを検討することが重要になります。
4つの視点と13の評価項目
次の13項目を評価することで、課題を明確にすることができ、介入すべきポイントが見えてきます
1.心身の医学的視点
①食べる意欲
②全身状態
③呼吸状態
④口腔状態
2.摂食嚥下の機能的視点
⑤認知機能(食事中)
⑥咀嚼・送り込み
⑦嚥下
3.姿勢・活動的視点
⑧姿勢・耐久性
⑨食事動作
⑩活動
4.摂食状況・食物形態・栄養的視点
⑪摂食状況レベル
⑫食物形態
⑬栄養
KTバランスチャートのメリットとデメリット
メリット
簡便な評価
特別な機器を必要としない
直感的に行える評価
包括的な評価
その人の摂食嚥下障害の状況を包括的に捉えることができる
スコア化された項目
各項目が点数化されており、評価や変化を視覚的に捉えることができる
デメリット
専門知識が必要
評価項目が多く一部は難しいため、医療従事者には正しく評価する知識が必要
特定の患者には適さない
がんや神経難病の患者では数値が低く出る傾向がある。また、主に脳卒中の急性期患者の嚥下障害に対して作成された評価方法であるため、加齢による誤嚥性肺炎患者などには適さない場合がある
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