介護する側と介護される側の両方の気持ちがラクになる認知症ケア|一般社団法人日本終末期ケア協会

介護する側と介護される側の両方の気持ちがラクになる認知症ケア

2021.2.25 JTCAゼミ

目次

専門的な知識をもつ人材が求められる

超高齢化に伴い認知症の人の数が増えており、終末期ケアの分野でも、認知症ケアへの興味をもつ方が増えています。
日本終末期ケア協会の公式テキストにも書かせていただきましたが、認知症は発症がすぐに死に結びつく疾患ではありません。
しかし、認知症の症状が身体の状態に影響したり、身体の症状が認知症の症状に影響したりすることもあります。また認知症の人は自分で体調管理をすることが難しいため、合併症を引き起こすこともあり、命に関わる重要な疾患です。
また認知症の人の終末期ケアでは、告知や自己決定の難しさが指摘されています。医療・介護現場においては、今後さらに終末期ケア専門士のような専門的な知識をもつ人材が必要とされるでしょう。

介護する側と介護される側の両方の気持ちがラクになる認知症ケア

私は認知症ケアにおいて「介護する側と介護される側の両方の気持ちがラクになる」という視点を大切にしています。
認知症の人は日常生活で困っていることが多くあります。
しかし、介護する側が自己犠牲をする必要はないと考えています。
介護する側が苦しいと、結果的に認知症の人を苦しめてしまうという状況を何度もみてきました。
認知症の人と関わっていると、これで正しいのだろうか、本当に本人のためになっているのだろうかと悩む場面が多くあります。
認知症ケアでは「この方法だからうまくいく」というものはありません。また同じ方法でもある人にとっては正解で、ある人にとっては不正解といったこともあるのが認知症ケアの難しいところでもあります。
「認知症ケアはこうでなくてはならない」という固定観念を外し、お互いがラクになる方法を考えていきましょう。

正解を探すのではなくストックを増やす

認知症ケアで大切なのは正解を探すことではなく、知識や経験を積み重ね対応方法のストックを増やすことだと考えています。
認知症の人が喜んでくれたこと、思うような結果が出なかったこと、様々な経験が学びとなります。
この度、ソシム出版より『つまずかない「認知症ケア」の基本』という書籍を発売しました。
この本には対応方法のストックを増やすためのヒントを多く載せました。
ご興味のある方に読んでいただけたら幸いです。
認知症の人が不利益を受けない社会にしていくために、一緒に進んでいきましょう。


日本終末期ケア協会アドバイザー
ブルーベル代表 市村幸美

つまづかない「認知症ケア」の基本

つまづかない「認知症ケア」の基本