グリーフケアに繋がるデスカンファレンス

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はじめに
「デスカンファレンス」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。
聞いたことはあるけど、経験したことはないという方もいるのではないでしょうか。
デスカンファレンスについて、次のようなお悩みはありませんか?
・実際どのようにやっていったらいいのか分からない
・目的や意義はなんだろう
・やってみたくても第一歩が踏み出せない
効果的なデスカンファレンスを行うことは、その後のよりよい終末期ケアにつながるだけでなく、医療従事者や患者さんに関わったスタッフのグリーフケアにもつながります。
今回は、デスカンファレンスの目的や意義、進め方を紹介していきますので、ぜひ今後に役立ててみてくださいね。
デスカンファレンスの目的・意義
デスカンファレンスとは?
デスカンファレンスは、病院や医療施設等で患者さんが亡くなった後に行われます。亡くなった患者さんのケアに関わった全てのスタッフが集まり、患者さんやご遺族からの情報、病状や治療、看護ケアの流れや結果について話し合い、学びを深めていきます。

目的・意義
・ケアの振り返り、今後のケアの質の向上につなげる
亡くなった患者さんに関わっていたすべての医療従事者が集まり、ケアを振り返ることで、多角的な視点やアプローチを知る機会になり、次のケアに活かされていきます。
・患者、家族への理解が深まる
患者さんや家族からの情報は関わったスタッフによって受け取り方が違います。様々な職種の意見を聞くことで、患者さんや家族の本当の思いに近づくことができます。
・スタッフ間での気持ちの共有/専門家としての自信の回復
死別した患者さんのケアを振り返る時、私たち医療従事者は「あの時もっとこうしておけばよかった」など自責の念を持つことがあります。患者さんとの出会いや別れを繰り返す中で、誰かに認めてもらう機会は少なく、自分の看護に意味があったのかもわからないまま日々仕事をし続けると、自分の看護に対して自信を無くしてしまうこともあるかもしれません。そんな時、一人で抱え込まず、チームで話し合う場を設けたり、先輩看護師の経験談を聴いたり、共感してもらえる機会を設けることで、悲観や喪失感の軽減に繋がります。
・遺された家族へのケアの立案
遺された家族にはこれからも人生が続いていきます。デスカンファレンスを行うことで家族にいま必要なケアを立案することができます。
デスカンファレンスの進め方
日々忙しい仕事の中、長時間かけてデスカンファレンスを行うことは難しいですよね。
そこで、しっかり事前準備をしておくことがポイントになります。
また、責任追及の場でないという共通認識と、相手の立場を配慮することが大切です。
そして、医療従事者自身のグリーフケアにもつながることを意識しましょう。
事前準備
・主治医と受け持ち看護師やかかわりのあったスタッフの日程調整
・開催日は記憶の新しい1か月以内が理想
・司会と書記を決めておく
・事例紹介をまとめておく
・論点を絞っておく
(例えば、患者の意思を尊重できていたか、家族へのケアは適切だったかなど)
・当日参加できないスタッフからも事前に話を聞いておく
当日の進め方
①デスカンファレンスの目的を共有
②グランドルールの確認
▶ 他者の意見を否定しない
▶ できていたことを認め合う
▶ できなかったことへの反省会にしない
▶ 責任追及の場にしない、辛い時は途中退席可 など
③事例紹介
④事前に決めていた論点をスタッフに提示し、話し合う
▶ なるべく全員が発言できるように配慮する
⑤参加できなかったスタッフの意見を代弁する
⑥患者さんとの関わりの中で、困った点や難しかった点などの意見が出た場合は、上手く対応していたスタッフの意見や、経験豊富な先輩看護師の意見を聞いてみる
⑦色々出た意見の中から、感情も丁寧に汲み取る
▶ 感情の共有や、看護師のグリーフケアに繋がる
まとめ
終末期の患者さんとの関わりで辛い気持ちになるのは、あなただけではありません。医療従事者も一人の人間です。プロとして、自分の感情をコントロールして仕事に挑むことも大切ですが、感情をため込んでしまうといつか燃え尽きてしまうかもしれません。自分の感情も患者さんやご家族の感情と同じように大切に扱いましょう。同じ辛さを同じ場所で経験しているチームだからこそ共感できるものです。デスカンファレンスを通して、チーム内の結束を強め、私たち医療従事者自身のグリーフケアも大切にしていきましょう。
《参考文献》
一般社団法人日本終末期ケア協会<終末期ケア専門士公式テキスト>(p44, p52)
デスカンファレンスの価値を知る者が生き残る!目指せ看護師サバイバー!
デスカンファレンスを実りあるものにするための5つ課題とその対応策
介護士が行うデスカンファレンスとは?進め方のコツや注意点など | お役立ち情報 | 介護求人ラボ
【終末期ケア専門士】について
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