エンゼルケア ~未来のグリーフケアのために~
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エンゼルケアは死後の処置だけでない
エンゼルケアといえば何を思い浮かべますか。
エンゼルケアには死後の処置、死化粧、腐敗の進行を遅らせるなど様々な要素がありますが、残された遺族や医療者のグリーフケアとしても重要な要素の一つです。
エンゼルケアでその人らしい姿に整えることは「きちんと最後までケアしてあげられた、最後にきれいな姿でお別れできた」と、遺族の満足感や達成感を得られ、グリーフケアにも繋がっていきます。また、生前の面影を保つことで、故人の尊厳を守ることにも繋がります。
今回は手技的な面ではなく、エンゼルケアを通して得られる効果からエンゼルケアを考えていきたいと思います。
病院でのエンゼルケアのすすめ
かつての日本人のほとんどは、自宅で家族に看取られて亡くなっていました。しかし、核家族化、緩和ケアや医療の発展、国策などの影響で、自宅以外で亡くなる方が多いのが現状です。
病院の場合、エンゼルケアは看護師が担うことが多いですが、遺族の方にもエンゼルエアに一緒に参加してもらうことで、死を受け入れるプロセスに繋がるため、積極的に参加を促してみましょう。
エンゼルケアに参加を促すまでの声掛け
①患者が亡くなられてから、遺族とお別れの時間を持ちます。
②お別れの時間は人それぞれですが、頃合いをみて、この後の流れを説明します。
(医療器具を外し、エンゼルケアを行い、霊安室まで移動し、葬儀屋のお迎えを待つ)
③その際に、遺族にエンゼルケアに参加したいか確認し、どのタイミングから参加したいかも確認します。この時、できるだけ参加してもらえるように声をかけてみましょう。
遺族に参加してもらいやすいエンゼルケアと声掛け
清拭は一番行いやすいケアの一つです。まだ温かい故人の手や足に触れながら、生前闘病生活を頑張ってこられたことを労うような声かけ、入院生活の様子をお伝する、故人の思い出話し、それまでの生き方などを話ながら行うといいでしょう。言葉に出すことで、気持ちの消化、悲観の受容、グリーフケアに繋がります。
直接触れることができなくても、エンゼルケアをしている様子を見ながら語ることもいいでしょう。また、衣装を準備するなどの間接的な関わりでも、最後のケアに参加できたと感じることに繋がります。
エンゼルケアを行う時の注意点
地域によって葬儀の習慣が違ったり、宗教・文化の違い、遺族の考えもあります。また、葬儀屋によっても指定がある場合もあります。トラブルの回避のためにも、事前に確認してからエンゼルケアを始めましょう。
在宅でのエンゼルケアのすすめ
在宅でもエンゼルケアは事前の打ち合わせが重要
在宅の場合、事前に処置の内容や費用の説明を行うことは、トラブルや誤解を回避するために重要になってきます。エンゼルケアは自費になるため概算の説明、また「こんなはずじゃなかった」と意向に沿わないことがないように、予め話し合っておくことが望ましいです。
事前に話をする際は、タイミングを慎重に考慮しましょう。そのためには日頃からの信頼関係が大切です。また、家族から看取りの話が出た際や、体調に急激な変化があった際もいいタイミングでしょう。
事前に希望を伺っていても、気持ちは変わるものです。エンゼルケアを行う前には必ず再度希望の確認を行ってから処置を始めましょう。
在宅でのエンゼルケアの促しかたと声掛け
①在宅の場合、在宅医が到着するまで時間がかかることがあります。その間、故人と遺族とお別れの時間を持ちます。
②エンゼルケアを始める前に遺族にエンゼルケアに参加したいか、どのタイミングから参加したいか確認します。在宅でもできるだけ参加してもらえるように声をかけてみましょう。
自宅で主として介護を行っていたとしても、エンゼルケアに抵抗を示す方もおられます。無理強いはよくありませんが、エンゼルエアを一緒に行うことで「最後までケアしてあげられた」と満足感や達成感にも繋がるため、あえてケアに参加してもらえるように声をかけてみましょう。例えば、手足を拭いてもらうタオルを準備してもらう、温かいお湯を準備してもらうなど、間接的でも構いません。
エンゼルケアはどこまで手伝ってもらうのが正解かは決まっていません。積極的に参加してくださる場合には、看護師は一歩引いて、アドバイスする立場に回るものいいでしょう。
エンゼルケアを行う際には、今まで介護を頑張ってきたことへの肯定の気持ち、故人の思い出、それまでの生き方などを言葉に出すことで、気持ちの消化、悲観の受容、そしてグリーフケアに繋がります。
まとめ
一緒に行うことで、喪失の悲観を和らげ、死を受け入れるプロセスとなり、外観を整えることは、故人の尊厳を守るだけでなく、遺族の心のケアにも繋がります。遺族も、看護師も、最後に故人にしてあげられるエンゼルケアをただの処置ではなく、安らかなお別れになる大切な時間にしましょう。
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