【Today’s レビュー】終末期ケア専門士とファイナルギフトを読む|一般社団法人日本終末期ケア協会

【Today’s レビュー】終末期ケア専門士とファイナルギフトを読む

2022.2.3 協会情報

目次

大寒の厳しい寒さが身にしみる1月19日。

 

日本終末期ケア協会は、終末期ケア専門士約40名を対象にZoomを使用したオンライン上で

「【Today’s レビュー】ファイナルギフト-死ぬ瞬間の言葉-読書会」を開催いたしました。

 

語り手としてお招きしたのは、聖マリア病院ホスピス科部長 大谷弘行先生!

テーマとなる書籍は、『ファイナルギフト-死ぬ瞬間の言葉-』です。

 

【Today’s レビュー】とは、終末期ケアに関する視点で書籍や論文、映画などに

スポットを当て、講師と一緒に立ち止まって考えてみよう!という新企画です。

 

忙しくて本を読む時間がない…

面白い論文に触れてみたい…

同じ本や映画をほかの人はどう感じたのか意見がききたい…

そんな方は【Today’s レビュー】にぴったりです。

 

今回の【Today’s レビュー】の流れは、以下の通りです。

①大谷先生による物語の朗読      (約30分)

②死にゆく人のメッセージについて深める(約30分)

 

『ファイナルギフト-死ぬ瞬間の言葉-』とは

 

さて、『ファイナルギフト-死ぬ瞬間の言葉-』とは、どのような本なのでしょうか。

概要は以下の通りです。

 

・著者:マギー キャラナン、パトリシア ケリー

・監修:石森 携子

・出版社(発売日):二見書房(1993/4/1)

 

この本は、

・死にゆく過程の中で特別な意識が存在すること

・死にゆく人たちとのコミュニケーション

についてまとめられています。

 

また、この本で著者は、「臨死体験」とは明確に区別される

「臨死意識」という言葉を用いています。

・臨死意識:ゆるやかに看取りまでの経過をたどる場合の体験

・臨死体験:突発的な死で起こる体験

 

今回のToday’s レビューでは、この本の「臨死意識」についての物語を2つ、大谷先生に朗読していただきました。

 

穏やかな声は、とても聴き心地がよく、自分で読むのとはまた違った感覚が味わえましたよ!

 

グリーフケアにもつながるコミュニケーションとは

 

物語の共有のあとは、死にゆく人のメッセージについて深めていきます。

対話の中で得られた大谷先生の考えを一部ご紹介します。

 

Q.大谷先生は、臨死意識やせん妄を見分ける際、ベッドサイドでどのように声を聴いていますか?

A.私は、まず部屋に伺うと手を握ることから始めます。
そして、脈の乱れや手足の冷たさなど体の状態を把握します。
それと同時に部屋全体に意識をとばし、本人や家族の息づかい、部屋の雰囲気を観察します。
低い声で「大丈夫よ」と声をかけながら、このまま様子をみるべきか判断しています。

 

Q.臨死意識について、ご家族にはどのように対応していますか?

A.まず、ご家族が焦っているのか、落ち着いているのかを感じ取ります。
ご家族が焦っている場合は、ゆっくりとした口調で話しかけ、落ち着いていただくことを目指します。
ご家族が落ち着いている場合は、本人の過去などについて質問し、対話を深めていきますね。

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

受講後のアンケートでは、

・私達が学ぶべきケアのヒントが、30年前の本から感じ取れる事へ驚きました。

臨死意識から受け取るメッセージにどれほど寄り添うことができるか…

これからも変わることのない大切なケアを感じた時間となりました。

・先生に本を読んでもらい、自分で読んだ時とは違った気づきがありました。

自身のケアを振り返りながら考えることができました。

といった意見や感想をいただきました。

 

日本終末期ケア協会では、講義形式はもちろんのこと

参加した人が自分の思いや悩みを話すことで

明日からのヒントを得られるようなイベントを開催しています。

今後もさまざまな角度や方法で学びの体験を作っていきたいと思いますので

終末期ケア専門士の皆様のご参加をお待ちしております。