【第1回】終末期ケアの“今”を支える専門士たち。資格がもたらす変化と成長とは
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皆さんこんにちは、終末期ケア協会事務局です。
終末期ケア専門士の試験は、本年度で第6回目を迎えました。
”全国の終末期ケア専門士・終末期ケア上級専門士の皆さまに、より豊かな学びと成長の場をお届けしていきたい。”
その思いから、この度私たちは終末期ケア上級専門士の方々にコンタクトをとり、ヒアリング調査を実施いたしました。
ヒアリング調査では、資格を取得したきっかけから、受験後の変化、専門士としての日々の活動状況についてお聞きしています。
今回は、そのときの様子の一部をお伝えしていきたいと思います。
ヒアリングにご協力いただいたお二人

安城更生病院
作業療法士
行 功一郎さま

株式会社ライフデザイン 訪問看護ステーション れら
管理者・看護師
角田 ゆかりさま
医療者としての歩み、終末期ケア専門士を知ったきっかけ
ー本日はよろしくお願いいたします。はじめにお二人のご経歴について教えてください
行:
愛知県安城市にある、安城更生病院で15年ほど働いています。
以前はいろんな施設を転々としていました、作業療法士としての経験年数は25年になりますね。
角田:
看護師として新卒のときから20年ほどがんの専門病院で働き、その後は生活スタイルにあわせて、勤務形態を変えつつ仕事をしていました。
「患者さんが家でどういう風に過ごしているのだろうか」というところに興味を持って、今は施設内訪問看護で管理者をしています。
ー終末期ケア専門士をどこで知りましたか
行:
7年ほど前のことですが、がんを患った父にがんリハビリテーションを行った経験から、がんリハビリを極めていきたいと思うようになりました。
インターネットでがんに関する勉強会や研修について調べていたあるとき、『終末期ケア専門士』という資格を見つけて、「なんだか面白そうだな」と思ったのが受験のきっかけです。
角田:
私はスキルアップのために、何か資格を取りたいと考えていました。
認定看護師のようなものだと大学に行って学ぶ必要がありますが、忙しくなかなか時間が取れないので、より手軽に取れる資格を探していました。
あるとき、「終末期」というキーワードで検索していると、『終末期ケア専門士』がヒットしたのですが、よく見てみると受験申し込みがなんと明日までだったんです! なんだか運命を感じてすぐに申し込みましたね。
資格取得が実践と自信につながる。終末期ケア専門士・終末期ケア上級専門士の魅力
ー終末期ケア(上級)専門士をとって良かったと思うことは何ですか
行:
実践にすごく役立ったと思います。患者さんやほかの職種からの信頼獲得にもつながりました。
即戦力として使える知識がたくさん身についたので、いい資格を取れたなという印象です。
資格を取得したことを周囲に報告したときは、まだまだメジャーな資格ではなかったため、「聞いたことがない」と即答されましたね。 資格取得後は、協会が実施しているセミナーや同じ終末期ケア専門士の仲間から情報を収集しやすくなったこともあり、かなり知識の幅が広がり、能力の向上ができています。
角田:
私は終末期ケア専門士を取得したことで自信がつきました。
そのおかげで、ほかの試験も受けてみようかなという気持ちになり、どんどん資格取得へチャレンジしていくようになりましたね。
また資格取得後、終末期に関する勉強会を何回か実施したのですが、それを通して以前は苦手だった人前で話すことが、段々と上達していったと思います。
終末期ケア上級専門士としての現在の活動
ー終末期ケア上級専門士として行っている活動について教えてください
行:
自施設内のリハビリテーションスタッフに対して、勉強会を年に一度は開催しています。
勉強会の前には、ココリンク※で配信されている動画を視聴しており、復習になっていますね。
基本的に勉強会は自施設でのみ実施しているので、今後は地域のほうへ活動の幅を広げていきたいです。
※ココリンク:終末期ケア専門士取得後に利用できる資格更新システム。講義動画視聴や専門士同士のコミュニティに参加できる。(https://jtca2020.or.jp/cocolink/)
角田:
年に3、4回ほど自施設と同じ系列の施設内で勉強会を実施したり、地域の小中学校まで伺って命の授業を行ったりしています。
私も行さんと同じく、まずは自分の地域から仲間を増やしていって勉強会ができたらいいですね。
今年の4月には、終末期ケア上級専門士のアプリiDoBATA※で行さんと一緒に企画して、上級専門士同士の交流会を開催しました。これが結構好評で、私たちもやってよかったね、と。
結構モチベーション上がりましたよね。
行:
そうですね、モチベーションが上がりました。すごく上がってます!
※iDoBATA:終末期ケア上級専門士専用アプリ。終末期ケア上級専門士同士でチャットを用いて交流ができ、イベント企画や情報交換ができる。
資格取得を目指す方に向けて
ー最後にこれから終末期ケア専門士/終末期ケア上級専門士を目指す方へ、メッセージをお願いします!
行:
私自身、資格を取得したことで得た知識がかなり活かせていると感じています。
まずは、皆さんに受験で終末期ケアについて学んでもらって、そして実践で使えるということを知っていただき、さらに上級専門士も目指そうと思っていただけると嬉しいです。
終末期ケア上級専門士として、院内外での勉強会開催や地域での活躍の場を広げる努力が今後もっとできれば、やりがいにつながると信じています。 志の高い取得者が増えることを切に願います。
角田:
資格を取得したことでスキルアップでき、さらにいろんな人との関わりを通して、自分の人としてのあり方っていうのもすごく見つめ直すきっかけにもなりました。
自分1人で「悶々としている、モヤモヤしている」じゃなくて、やっぱりいろんな人と接することができる、勉強会にも参加できるっていうことが、この資格の良さだと思っています。
皆さんにぜひ終末期ケア専門士を取っていただき、さらに上級専門士を目指していただきたいな、というふうに思っています。
ーお二人ともありがとうございました。

ヒアリングを終えて
今回のヒアリングではお二人から、終末期ケア上級専門士として地域にもっと貢献していきたいという熱い思いが伝わってきました。
終末期のスペシャリストとして活躍される皆さまを支えていくべく、終末期ケア協会として、学びの場を提供し続けていきたいと思います。 ヒアリングにご協力いただいた、行さま・角田さま、誠にありがとうございました。
【終末期ケア専門士】について

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。