終末期におけるリラクゼーションと安楽ケア「何が正しいのか」悩む場面での考え方|一般社団法人日本終末期ケア協会

終末期におけるリラクゼーションと安楽ケア「何が正しいのか」悩む場面での考え方

2026.1.23 JTCAゼミ

目次

はじめに

終末期の患者さんと関わるなかで、

「少しでも楽にしてあげたい」

「でも、この関わり方で本当に良いのだろうか」

と迷いながらケアを行う場面は少なくありません。

とくにリラクゼーションやポジショニングなど、
数値で効果が見えにくいケアほど、「正しさ」に不安を感じやすいのではないでしょうか。

本記事では、
終末期ケア協会主催オンラインセミナー「学びLabo」で実際に寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容を、
解釈や要約を加えず、そのまま掲載します。

今回の回答について

本記事は、セミナーに寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容をもとに構成しています。

終末期のケアにおいて、
「これをすれば正解」という答えが見えにくい場面での考え方が、
複数の質問を通して示されています。

ご注意

本記事で紹介する内容は、考え方や視点の共有を目的としたものです。
実際のケアにあたっては、
患者さんの状態や医師の指示、所属施設・地域のルールを踏まえて判断してください。

質問①

訪問看護師です。
大脳皮質基底核変性症の終末期患者様を担当しています。
延命治療、痰吸引のための気管切開も拒否されており、在宅での看取りを希望の方です。
最近「吐きにくい」という訴えが増えており、
毎日胸郭のコンディショニングと呼吸療法を実施しています。
実際行っていく中で胸郭の可動域が広がるのを感じます。
有効な手段であると考えてよろしいでしょうか?
ほかにもできることがあれば教えていただきたいです。

回答

はい。効果があると評価できているのは素晴らしいです。

何が正解と言うことはありません。

あくまでも方法は手段であって、目的を果たす方法はアレンジを加えても良いのです。

胸郭の可動域が改善していると感じられていること自体が、
呼吸療法の有効性を示す一つの兆候です。
大脳皮質基底核変性症などでは、他動的な胸郭運動の支援も考えるべき重要な要素だと思います。

他にできることとしては:

・呼吸器合併症の予防

咳嗽力などの評価をしておき、肺炎等の発症リスクを評価しておくと良いと思います。

身体機能の維持

 排痰体位などの体位変換とれるように関節拘縮などの予防をしておくと良いと思います。

もちろん身体機能を維持する目的は他にもあるかと思いますが、
いざという時に排痰体位が取れないというは手も足も出ないということになります。

質問②

看護師ができるリラクゼーションの手技やポジショニングも
改めて学ばせていただきたいと思いました。
理学療法士さんの現場を見ることも、
看護師にとって学びが大きいはずです。互いに学び合いたいです。

回答

お互いに学びあうことはとても重要です。
私もそう思います。

リラクゼーションに関しては、看護師のタッチングと同じ効果があります。
理学療法士からの視点も共有しながら、以下のような技術が有効です。

看護師によるリラクゼーション例

全身どこのマッサージでも良いので、「 心地よい」を作れれば呼吸には良い影響があると思います。
もし必要であれば手技の講習会などはあります。
それを受講されてはいかがでしょう か?
また御所望であれば私の方で企画しても良いかもしれません(笑)

質問③

病棟看護師です。
終末期の患者様へのリラクゼーションの具体的な方法を教えていただきたいです。
臥床したままで、どのように実施するのがいいでしょうか。
いろいろ実施していきたいですが、正しいやり方なのか、
悩みながら患者様に触れていることが多いです。

回答

臥床状態でも、可能なリラクゼーションはたくさんあります。

 具体的な手技

他動的な方法であれば、医療者が呼吸介助をする(両手を胸に添え、呼吸のリズムに 合わせて軽く圧をかける)

肩甲帯周囲のマッサージ:肩こりへのマッサージで効果あります

アロマや風前の記事(SpO₂は保たれているのに「苦しい」と訴えるのはなぜか?数値だけでは判断できない呼吸困難の考え方)に詳細を記載しております

 注意点

「正しいか不安」と感じながらでも、患者さんが「楽」と言ったらそれは効果があります

一つひとつを「観察→反応→調整」丁寧に行えば、それが“正しいやり方”です。

おわりに

終末期のリラクゼーションや安楽ケアは、
マニュアル通りに行えば良いものではなく、
患者さんの反応を見ながら調整していく関わりです。

「これで合っているのだろうか」と悩みながらでも
患者さんが楽だと感じているのであれば、その関わり自体に意味がある

本記事を通して、そのような視点が共有される内容となっています。

本記事は、セミナーにおいて寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容を、
内容を変更せず掲載しています。

第7回
終末期ケア専門士認定試験

受験申込期間

2026年3月27日~9月20日

試験実施日

2026年10月9日~10月31日

a

【終末期ケア専門士】について

「終末期ケア」はもっと自由になれる|日本終末期ケア協会

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。

これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。

時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。

エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。

終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。