エアスタッキングとは?咳嗽力を補うための考え方と実施時の注意点
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はじめに
咳嗽力が低下している患者さんに対して、
排痰をどのように支援するかは、臨床の現場でしばしば悩むテーマの一つです。
その中で、「エアスタッキング」という方法について、
実施の考え方や注意点を知りたい、という質問がセミナーで寄せられました。
本記事では、
その質問に対して理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容を、
解釈や要約を加えず、そのまま掲載します。
今回の回答について
本記事は、セミナーで寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容をもとに構成しています。
エアスタッキングは、
特に神経筋疾患などで用いられることの多い方法ですが、
実施にあたっては適応やリスクの判断が重要になります。
ご注意
本記事で紹介する内容は、考え方や視点の共有を目的としたものです。
実際の実施にあたっては、
患者さんの状態や医師の指示、所属施設・地域のルールを踏まえて判断してください。
質問
エアスタッキングの練習をする時
回答
質問が不完全なのでどのようにお答えするのが良いのか分かりませんが、
私なりに解釈してお答えします。
エアスタッキングは、主に神経筋疾患などで咳嗽力を補う目的で行われます。
目的
・咳嗽力(PCF)を補い、排痰の効率を高める
・肺・胸郭の柔軟性維持
・神経筋疾患患者で特に活用される
【自力で行うエアスタッキング(自発的スタック)】
対象者
・呼吸が自発的にコントロール可能
・声門の閉鎖・開放を自発的にコントロールできる
手順
1.深く吸気(できるだけ多く空気を吸う)
2.声門を閉じて空気を保持
3.もう一度空気を吸い、さらに胸郭を拡張(複数回吸気を繰り返し空気を「スタック」)
4.肺内に溜めた(スタックした)空気で咳を行う、または自然に呼気
注意点
・めまいや呼吸困難,息切れを訴える場合は中止
・胸痛や不整脈がある場合には実施不可
・過換気を防ぐため、回数や間隔は調整が必要
【他者介助によるエアスタッキング】
対象者
・吸気筋力の低下があり、自力で十分な空気のスタックができない
・声門閉鎖はできる 使用器具
・アンビューバッグ(バッグバルブマスク/BVM) 一方向弁付きの自動式呼吸バッグ
手順(介助者付き)
1.マウスピースまたはフェイスマスクを患者の口に装着
2.バッグをゆっくり圧迫して1回目の空気送気
3.患者は声帯を閉鎖して空気を保持
4.2 と3続けて2〜3回目の送気を繰り返す(過膨張に注意)
5. 肺内に溜めた(スタックした)空気で患者が咳嗽または呼気を行う(咳介助を併用)
注意点
・前提としてこの方法に慣れている医療者がいる環境下で行う
・圧損傷による気胸のリスクあり
・バッグ加圧は「ゆっくり・優しく・確認しながら」
・必ずモニター下で行う(SpO₂、呼吸数、疲労感など)
・実施前にこの方法を行っている医師の指示または理学療法士による評価があった方が良い
おわりに
エアスタッキングは、
適切に行えば咳嗽力を補う有効な手段となり得ますが、一方でリスクも伴う方法です。
対象者の状態や環境を十分に評価したうえで、
実施の可否や方法を判断することが重要であることが示されています。
本記事は、セミナーにおいて寄せられた質問に対し、
理学療法士・秋保光利先生が後日あらためて回答してくださった内容を、
内容を変更せず掲載しています。
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