“リアルな臨床”が教えてくれた、肝疾患終末期ケアで本当に大切なこと
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2025年12月11日(木) 学びLabo
「先生、リアルなレクチャーをお願いします!~よく見る肝不全・肝疾患の終末期ケアに強くなろう~」
を開催しました。
講師
東京慈恵会医科大学附属第三病院
総合診療部 緩和ケアチーム専従医
村瀬 樹太郎 先生

「教科書通りにいかない」肝疾患終末期ケアの現実
今回の学びLaboは、「肝不全・肝疾患の終末期ケア」という、現場で“よく出会うのに、実は難しい”テーマを真正面から扱ったセミナーでした。
参加者からは、
「教科書では学んだけれど、実際の現場でどう判断すればよいか迷っていた」
「肝硬変と転移性肝腫瘍の違いが、ようやく整理できた」
といった声が多く寄せられ、日々のケアに“もやもや”を抱えながら関わっている人が多いことが浮き彫りになりました。
「同じ症状でも、ケアは同じではない」という気づき
セミナーで特に印象に残った学びとして多かったのが、
肝硬変と転移性肝腫瘍では、腹水・黄疸・意識障害など“同じように見える症状”でも、
背景もケアの考え方も異なる「利尿剤が効く腹水」と「効きにくい腹水」があること。
症状だけを見るのではなく、“なぜ起きているか”を理解することがケアにつながるという点でした。
「症状だけで判断していた自分に気づいた」
「病態を理解することで、関わり方に自信が持てそう」
といった声からも、“考えるケア”への一歩を踏み出した参加者の変化が伝わってきます。

予後予測を「数字」で知ることで、ケアが変わる
多くの参加者が「すぐに現場で使いたい」と答えたのが、
PPI(Palliative Prognostic Index)による予後予測でした。
「予後を“感覚”ではなく、指標で共有できるのは心強い」
「チームで同じ見立てを持つことの大切さを実感した」
予後を見立てることは、決して“諦める”ことではなく、限られた時間をどう支えるかを考えるための準備。
その視点に、多くの参加者が深くうなずいていました。
現場のリアルな悩み──「どこまでやるべきか」の葛藤
参加者からは、現場ならではの切実な声も多く寄せられました。
「排泄介助や輸液、どこまで本人の希望を叶えるべきか悩む」
「患者さんのつらさを前に、無力感を感じることがある」
「医師には見えにくい、看護師・介護士の葛藤がある」
村瀬先生は講義の中で、
「緩和ケアに正解はない」
「だからこそ、ひとりで抱え込まないことが大切」
と繰り返し語られました。
この言葉に、
「“迷っていい”と言われて救われた」
「支える側にも支えが必要だと、あらためて感じた」
という共感の声が多く集まりました。

「支えになるもの」は、つらさの中にもある
セミナーの終盤で語られたメッセージのひとつが、
「苦しみの中でも、支えになるものは必ずある」
という視点です。
何気ない声かけ
そばにいる時間
話を聞くこと
穏やかになれる瞬間を一緒に見つけること
「“その人が穏やかになること=支え”という言葉が心に残った」
「技術だけでなく、姿勢を問われるケアだと感じた」
参加者それぞれが、
自分の現場、自分の関わりを振り返る時間となったことが伝わってきました。
おわりに─“リアルな学び”が、明日のケアにつながる
今回の学びLaboは、疾患の知識だけでなく
判断に迷う気持ち
支える側のしんどさ
それでも人に寄り添おうとする姿勢
を、まるごと受け止めてくれる時間でした。
「肝疾患の終末期ケアに、少し強くなれた気がする」
そんな声が多く寄せられたことが、このセミナーの価値を物語っています。
日本終末期ケア協会は、
これからも現場で悩み、考え、支え続ける皆さんの学びを支援していきます。
【終末期ケア専門士】について

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。