ケアを鍛えるシリーズ~病者と最新のコミュニケーション技術を教えます~【JTCAセミナー】

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2025年1月10日、JTCAセミナー「ケアを鍛えるシリーズ~病者と最新のコミュニケーション技術を教えます~」 を開催しました。

セミナーの概要
ケアを行う上でコミュニケーションはとても大切なツールです。処置を行う前の声掛けや、今後の治療方針に向けた意思決定のサポートなど、コミュニケーションによる援助は患者や家族に大きく影響します。また、その援助者は戸惑いや不安など抱くことも多いかと思います。
今回は、臨床心理士の東畑開人先生著書の「雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら」の内容に触れながら、こころのケアについて解説していただきました。その中で、ケアをする人・される人のコミュニケーションを考えました。
講師
しんじょう医院 院長
緩和医療専門医
新城 拓也先生
正常心理と異常心理
前半は以下について講義していただきました。
こころのケアとはなんだろうか
こころがわかるとはどういうことだろうか

前半の講義では、こころのケアについて学びました。
人のこころは、日々正常心理と異常心理を行ったり来たりしています。それは病者や健常者にかかわらず、こころが正と負に揺れ動くことを意味します。前者を“晴れの日のこころ”、後者を“雨の日のこころ”としましょう。
雨の日のこころは、悩みや何かしらトラブルがある心理状態です。傾聴などよくあるコミュニケーションスキルでケアすることは難しいこともあります。そこで大切なのは、相手を傷つけずニーズを満たしてあげることです。諭すことや導くことではなく、相手に寄り添いその思いを受け取ることで、他者が自分を心配してくれているという心理的な安心感につながります。そして、こころをわかるということは、その受け取ったこころを解釈することです。実体のないこころを解釈することは難しいですが、その目安として心理学者が提唱した“補助線”があることをお話ししていただきました。
こころをきくとは?
後半は以下について講義していただきました。
こころはどうしたらきけるのか

後半は、こころをきくにはどうしたらよいかについてお話ししていただきました。
こころをきいて理解しようとするとき、二段階のステップがあります。第一段階は「こころを預かる」、第二段階は「こころを消化する」というものです。
こころを預かるとは、相手のありのままの気持ちを受け止めることです。こころを消化するとは、相手の気持ちに思いを馳せてその正体を理解していくプロセスのことです。さらに理解しやすいように、泣く子どもをあやす母親のモデルを用いて解説していただきました。
講義を振り返って
こころとは実体のないケアの対象物です。相手のこころをすべて理解することはできなくても、そのプロセスや目安となるものを理解することでよりよいコミュニケーションやこころのケアにつながるのではないかと考えます。
今回の講義では、ケアをする人・される人の内面に目を向け、こころの通ったかかわりについて学ぶことができました。
参加した皆さまの感想
Aさん
講義ありがとうございました。 精神的分野は、難しく理解は困難でありますが注意するポイントを教えて頂き今後に役立てていきます。
Bさん
特別な言葉ではなく、相手を気遣う気持ちが大切なのだと感じました。相手に安心感や受け入れてくれていると感じてもらうためにコミュニケーションを図っていこうと思いました。ありがとうございました。
Cさん
心理学は敷居が高いですがわかりやすかったです。職場の心理士さんにも今日のお話をしたいと思います。