チームで見る診る看る! 便秘へのアプローチ【学びLabo】|一般社団法人日本終末期ケア協会

チームで見る診る看る! 便秘へのアプローチ【学びLabo】

2024.7.30 イベント

目次

2024年5月22日(水)、学びLabo「チームで見る診る看る! 便秘へのアプローチ」を開催しました。

日常業務の中で便秘の患者さんに向き合う時間がないことが多い…

そんな状況で、日本では珍しい排便サポートチームを院内で立ち上げ、「排泄に問題があっても自分らしくHappyに生活するためのお手伝い」をミッションに積極的に発信されている、浦田克美様をお迎えしてセミナーを行いました。

講師

東葛クリニック 皮膚・排泄ケア特定認定看護師
浦田克美様

排便のサポートはチームで行うのが鍵

前半は以下について講義していただきました。

なぜ排便サポートチームが必要なのか

なぜ排便サポートが必要なのか

排便サポートチームを作った経緯、便秘のメカニズムとアセスメント、などについてのお話がありました。数種類の下剤を使用しているにかかわらず、便秘で悩む患者さんを目の前にし、もっと手軽に、画像で体の中にある便の形状がわかれば適切なアプローチができるのではと浦田先生は考えられました。

そこで、褥瘡対策チームで使用していたエコーを利用し、経腹アプローチ走査法や経臀裂アプローチ走査法で体内の排便状況を確認できるようになったそうです。

便秘はQOLの低下を招き、精神的・身体的・役割/社会的健康は有意に低くなり、労働生産性も悪くなります。また便秘は予後を悪くし、全死亡率が12%上昇します。

多職種によるさまざまな視点は排便サポートを充実させる

後半は以下について講義していただきました。

なぜチームなのか

なぜ排泄エコーナースを育成するのか

医師・病棟看護師・認定看護師・薬剤師・臨床検査技師・超音波検査士・管理栄養士・作業療法士そしてご本人がチーム一丸となって取り組むことで、さまざまな視点から排便のサポートができます。

浦田先生の病院では排便サポートにチームで取り組み、エコーから機能性便秘分類・排便の性状・形状・パターンを把握することで便秘症治療のアルゴリズムができ、その結果、院内では下剤の使用率が5年間で19.8%減少したそうです。

排便サポートチームが不在のときでも、いつでもスタッフがエコーによる排便サポートができるように排泄エコーナースを育成しています。

講義を振り返って

私たち医療職者は患者さんに便秘が起こると、早く解消したいがために、アセスメントが不十分なまま、指示された下剤の投与・浣腸・摘便などをしがちです。

しかし、便秘は適切な処置ができないと、その人のQOLの低下や予後も脅かす存在になります。そのことを学び、しっかり向き合わなければならないと改めて思いました。また、エコーを使用することで排便へのアプローチが明確になるということも驚きでした。

皆さんがこのセミナーの学びを受けて、多職種と協力し、患者さんの排便についてよいアプローチができるようになればと思います。

参加した皆さまの感想

Aさん

介護福祉士ですが、排便サポートチーム見学に行きたくなりました。

Bさん

便秘へのアプローチを病院全体で取り組むまで、ここまで組織を動かせることがすごいと思いました。苦難があったとしても、ビジョンを持ち続けることが大切なのだと思いました。

Cさん

排便異常が予後にも影響する、その人らしさを奪う、今まで気付きもしなかった事が知れて良かったです。今の職場にエコーは無いですが、今まで以上に排便サポートが出来るようアセスメントを行い寄り添える看護を提供していきたいなと改めて感じました。

 

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