医療現場でのレジリエンスを高めるチーム作り〜成功のための5つのステップ〜【JTCAセミナー】
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2024年5月10日、JTCAセミナー「医療現場でのレジリエンスを高めるチーム作り〜成功のための5つのステップ〜」を開催しました。
今回は「レジリエンス」について海外での事例を中心に紐解いていきます。
レジリエンスとは、困難や逆境に対処し回復する能力を指します。医療従事者にとって、レジリエンスは精神的・身体的な健康を維持し、高品質なケアを提供するために不可欠です。
白井先生の以前のご講義である「~チームワークをよくする31のアプローチ~」のエッセンスも交えながら講義していただきました。
講師
米国ダートマス大学
血液/腫瘍内科
教授 白井 敬祐先生
Engage(エンゲージ)とEmpower(エンパワー)の相互性が鍵
以下について講義していただきました。
EngageとEmpowerの相互性
患者やチームメンバーと積極的に関わり合い、互いに力を引き出し合うことに重要性があります。
失敗してもいい・修正してもいいと思うマインド
医療現場での柔軟な思考と「失敗をしてもいい」という姿勢が心理的安全性を作り、レジリエンスを高める鍵となります。
心理的安全性の作り方
チーム内で安心して意見を出し合える環境を整えることが、レジリエンスを高めるための基本です。心理的安全性が確保されることで、メンバー間の信頼が深まります。
価値観の違いを認める
多様な価値観を尊重し、それぞれの意見を大切にすることが、チームとしてBurnoutを減らす方法の1つです。
Burnoutの防ぎ方
自己管理とチームサポートのバランスが大切です。個人の責任ではなく、チームで支える・チーム全体での支援が不可欠となります。
Burnoutを防ぐ方法として、次の点が挙げられました。
①自分の中のリセットボタンを用意すること
コーピング方法を知ることや、もやもやを吐き出すことが大切です。
②相手に気持ちを伝えること
自分の感情を共有し、相互理解を深めることで、支え合いの関係が築けます。
講義を振り返って
講義では白井先生は患者さんや家族、医療チームの中でEngageし、相手からEmpowerされるという相互関係の重要性を強調されました。自分の能力や限界を知り、無理をせず仲間にSOSのサインを出したり、相談したりできる環境が必要です。やり直しはできるというマインドでいることが、Burnoutを防ぐ方法なのかもしれません。
救急やクリティカルな領域では、日本だけでなくアメリカでもBurnoutが多発しています。
また、がん治療の現場でも死に直面する場面が多いため、チームとしてのレジリエンスを高める必要があります。
医療現場でのレジリエンスを高めるために、今回のJTCAセミナーをご活用ください。医療従事者としてのレジリエンスが向上することにより、患者の満足度と治療効果が上昇し、自身のストレスも軽減されます。
皆さんも、これらのポイントを取り入れて、レジリエンスの高いチーム作りを目指しましょう。
参加した皆さまの感想
Aさん
チーム力を高めるためのポイントが分かりやすくてよかったです。
管理職で、人間関係に悩むことが多いですが、今日の学びを活かせられたらと思います。ありがとうございました。
Bさん
とても分かりやすく飽きのこない講義でした。バーンアウトしないように日頃から息抜きはしていますが「自分だけかもしれないな」とも思っています。チームのみんなの気持ちを聴いたりもっと話していきたいと思います。本日は有難うございました。
Cさん
自分だけのレジリエンスを高めるだけでなく、チームのレジリエンスをあげるポイントが学べて良かったです。お忙しい中、ご講義ありがとうございました。
【終末期ケア専門士】について
終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
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