救急外来からみた終末期ケアについてセミナーを開催しました!|一般社団法人日本終末期ケア協会

救急外来からみた終末期ケアについてセミナーを開催しました!

2024.3.11 イベント

目次

「救急外来からみた終末期ケア ~葛藤の中で、看護師ができる支援とは~」を開催しました

2024年1月12日、学びLabo「救急外来からみた終末期ケア ~葛藤の中で、看護師ができる支援とは~」を開催しました。

講師

日本終末期ケア協会アドバイザー
日本急性期ケア協会代表理事
NPO法人 N4 副理事長
医療法人伴師会 愛野記念病院
救急看護認定看護師 與賀田洋 先生

講義では長年、救急のプロとして第一線で活躍されている先生に、救急から見た終末期ケアの現状と課題を教えていただきました。

救急の現場では蘇生措置だけにとどまらず、限られた時間の中でどのように意思決定支援を行うかが求められています。葛藤の中で常にベストを尽くす、そんな救急の現場で看護師ができる終末期ケアについて講義をしていただきました。

前半の講義では

救急医療と救急医療の中での終末期とは

救急・集中ケアにおける終末期ケアの特徴と医療者の役割について

について講義していただきました。

救急医療とは何か、そして救急医療における終末期ケアの概念や定義について学習しました。

救急の現場は一刻を争う状況です。必要な処置を行いながら、終末期患者さんの家族への配慮も必要になります。しかし、救急外来は環境も時間も限られており、充実したケアを行うことは非常に難しいです。

救急の現場において医療者に求められる役割は何か、どのようなケアを行うことが必要か、多くの学びがある講義でした。

後半の講義では

CPAの対応事例

緩和ケア患者対応事例

について講義していただきました。

救急の現場において家族の思いは、不安な気持ちと恐怖感の中で揺り動かされます。たとえDNRがあったとしても救急搬送された場合、必ず蘇生術が施されることになります。そのため、在宅医と事前に万が一の時を想定した話し合いをしておくことに加え、救急の場で、もう一度家族への意思確認を行うことが必要です。

突然の出来事に混乱している家族への終末期ケアを行うためには、救急外来であっても、環境を整えて家族に配慮する関わりを意識することが大切です。

講義後の対話から学んだこと

救急現場・在宅・施設・病院など、療養場所がどこであっても、医療スタッフは「本当にこれでいいのか」とジレンマを抱えています。患者さんや家族も、それまで時間をかけて最期をどのように迎えるか話し合っていても、いざその時には意思決定が変わることがあります。そのため、もう一度意思確認を行うことが必要です。

一刻を争う救急現場という限られた環境、限られた時間で、思うようにいかない終末期ケアのジレンマ。「何をするのか」「何をしないのか」確かな答えはありません。

救急における終末期ケアは、最善の治療だけが医療ではありません。そこに携わる医療スタッフの役割は大きく、多職種で連携し、ご家族の思いに寄り添い、救急における終末期ケアのあり方を考えていくことが大切です。

受講生の皆さまの感想

Aさん

葛藤が常にあるのは、どこの現場も一緒だと改めて感じました。以前、救急センターで勤務している時の事を思い出しました。 急な終末期が訪れる時に、家族との意思決定の難しさ、看護師として、どのような対応をすべきだったか今でも考えてしまいます。

Bさん

在宅医がいなくて確認のために救急搬送されるケースが少なくないこと。その場合一度は蘇生処置が必須なこと。人が望む最期が地域事情や法で左右されてしまう現状。なんとか変わっていけるといいなと思いました。

Cさん

DNRのありかたが凄く考えさせられました。緩和ケアの認定看護師さんから 終末期でのDNRは一度取ると継続されると聞いていました。今日の研修で本人家族への説明、関係性や急変時の対応を考えていこうと思いました。

など、たくさんのお声を頂きました。皆さんの言葉からも、救急現場の終末期医療の難しさや、そこに必要とされる医療者の役割は何か。それが今後も考えていくべき課題であることがわかりました。あらゆる場面で、今回の学びが皆さんのケアをより柔軟にし、患者さんと家族へのより良いケアにつながると思います。

 

【終末期ケア専門士】について

「終末期ケア」はもっと自由になれる|日本終末期ケア協会

終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。

これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。

時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。

 

「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。

エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。

終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。