医療コミュニケーションについてセミナーを開催しました!
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2023年7月22日
【JTCAセミナー】米国緩和ケア医が教える 医療コミュニケーションの極意 その1 〜辛い知らせを伝え、感情に対応する〜を開催いたしました。
講師
マウント・サイナイ医科大学 老年・緩和医療科
アシスタント・プロフェッサー
植村 健司先生
今回のJTCAセミナーでは、医療者側も困難さを感じる“辛いニュースを伝えるうえでのコミュニケーション”について学びました。
代表理事岩谷が感じていた“辛いニュースの伝え方”
わたしは緩和ケア病棟で勤務していたため、「余命告知」からその先のバッドニュースを伝える多くの場面に立ち会いました。
「残っている時間はそう多くはない」、「もしかしたら、今回が最後の外泊になるかもしれない」、「いつ意識レベルが落ちてもおかしくはない状態」など。
また、総合病院の外来勤務をしていた際に、医師の説明が抽象的で患者や家族に本質が伝わっておらず、医師が患者と話し合うのを避けてしまっている…、看護師も気になりながらもどうすればいいのかわからない…、そんなシーンを見てきました。
もしかしたら、日本人はつらい知らせをオブラートに包んで察してもらう、という文学的な表現を得意とするのかもしれませんが、いちばん大切なことはそれでは伝わらないのではないか。
そう考えるようになりました。
そこで、植村先生が医療コミュニケーションについて広げる活動をされていることを知り、ぜひ終末期ケア専門士の皆さんと学ぶ場を持ちたいと考えました。
セミナーの様子をご紹介!
▶植村先生による医療コミュニケーションの講義では、
・感情への対応について
・辛いニュースを伝えるスキル
についてお教えいただきました!
▶前半講義後の対話では、以下の気づきが得られました!
・共感とは、「あなたの気持ちわかるよ」を伝えるのではなく、「あなたの気持ちに気づいていますよ」を伝えること
・つらい感情に反して、論理的に正しいことを話されると、いくら正しくても受け入れられない。人間は感情によって合理的判断ができなくなるもの。まずは、気持ちに気づき、対応する。認知を促すのはそれから
・人と人との対話を聞いて、その人のスキルを学ぶ。人の対話を聞くことも自己学習の一つ
▶植村先生との講義の振り返りをご紹介します!
・話し合いの前に医療者でプレミーティングを行うことが大切。話し合いのための話し合い、この準備が大切。「今日、何のために何を話しあうのか」をチームでまずは共有
・今日学んだコミュニケーションスキルをバランスよく使えるとグッド
・沈黙はみんな苦手。特に日本人はそう感じやすい。沈黙は『間』と捉え、『次の反応が出てくるまでの時間』と捉える
・次の話に進めるために許可、同意を得る。そうすることで、患者側でも議論の進行をコントロールできるように配慮する。「いまから○○について話してもいいですか」など
Part2では、『価値観を探り、価値観にあったプランを提供する』をお送りいたします!10月開催予定です。どうぞお楽しみに!
おわりに
受講後のアンケートでは、
・感情的に揺さぶられる講義でした。ありがとうございました。第二弾も期待してます。
・今まで医療や看護知識を身につけることで精一杯でしたが、コミュニケーションで迷う場面が多々ありました。今後の臨床場面で生かせるよう、精進します。
・今日先生の講義を聴いてたくさんの学びと振り返りをすることができました。これから小さな場面から少しずつスキルを身につけていきたいと思います。
といった感想をいただきました。
日本終末期ケア協会では、講義形式はもちろんのこと参加した人が自分の思いや悩みを話すことで明日へのヒントを得られるようなイベントを開催しています。
今後もさまざまな角度や方法から学びの体験を作っていきたいと思います。
終末期ケア専門士の皆さまのご参加をお待ちしております。
【終末期ケア専門士】について
終末期ケアを継続して学ぶ場は決して多くありません。
これからは医療・介護・多分野で『最後まで生きる』を支援する取り組みが必要です。
時代によって変化していく終末期ケア。その中で、変わるものと変わらないもの。終末期ケアにこそ、継続した学びが不可欠です。
「終末期ケア専門士」は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
エビデンスに基づいた終末期ケアを学び、全人的ケアの担い手として、臨床での活躍が期待される専門士を目指します。
終末期ケア、緩和ケアのスキルアップを考えている方は、ぜひ受験をご検討ください。