第6回JTCAセミナー「死前のせん妄(幻覚)は病気なのか?正常な死の過程なのか?」を開催しました。
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秋は深まり、寒さが厳しくなる晩秋の11月3日。
日本終末期ケア協会は、終末期ケア専門士約50名を対象にZoomを使用したオンライン上で「第6回JTCAセミナー」を開催いたしました。
講師としてお招きしたのは、聖マリア病院ホスピス科部長 大谷弘行先生!
JTCAセミナーには、初登壇です!
テーマは、「死前のせん妄(幻覚)は病気なのか?正常な死の過程なのか?」です。
今回のセミナーは
・せん妄の理解を深める
・死前のせん妄(幻覚)について深く考えるきっかけとなる
・死前のせん妄(幻覚)に関する体験や困りごとを専門士同士で共有する
これらを目的としています。
セミナーの流れは、以下の通りです。
①大谷先生によるせん妄についての講義(約30分)
②せん妄についてのグループワーク (約20分)
③せん妄についての対話の時間 (約25分)
死前のせん妄(幻覚)は病気なのか?正常な死の過程なのか?
まずは、せん妄についてしっかり正しく学びます。
講義から得られたキーワードを一部ご紹介します。
・せん妄は患者に身体的異変が生じているという危険信号である
・抗不安薬や睡眠剤単独投与はせん妄を悪化させる可能性がある
・せん妄の非薬物対策を検討しないなんてあり得ない
・薬物の前に、患者にとっての目標を決める
・死前の幻覚を脳波などの既知生理学的プロセスの観点から説明することは、困難である
死前のせん妄についてのグループワーク
講義のあとは、グループワークです。
専門士の皆様には、事前に伝えていた
・あなたの死前のせん妄(幻覚)の体験
・その体験に対するあなたの吐露と対応
について、話し合っていただきました。
3~4人の専門士のみのプライバシーが確保された空間で、自由に話し合っていただけます。
死前の幻覚は、職種によって体験している内容や対応が違うことも多いです。
また、見たことがないという人もたくさんいます。
体験談をシェアしあえる場は、大きな学びにつながります。
死前のせん妄についての対話の時間
グループワーク終了後には、セミナーのまとめとして、対話の時間を設けています。
ここでは、講師と専門士が対話やチャットを通して、理解を深めていきます。
対話の時間から得られたキーワードを一部ご紹介します。
・子どもや動物、故人など、さまざまな死前の幻覚の事例がある
・死前の幻覚はメッセージ(死にゆく覚悟、心配事、人生の振り返り)であり、それを知ろうとすることが重要である
・家族が死前の幻覚の意味を見出すこともある
・記録には、患者の言葉そのものを残してチームで共有する
おわりに
いかがだったでしょうか。
終末期ケアを実践する中で、せん妄ケアや、エビデンスでは説明できない現象を避けては通れません。
せん妄を正しく理解しながら、死前の幻覚の共感者となって、その人の世界を知ろうとすることが大切です。
日本終末期ケア協会では、講義形式はもちろんのこと、参加した人が自分の思いや悩みを話すことで、明日からのヒントを得られるようなイベントを開催しています。
今後もさまざまな角度や方法で学びの体験を作っていきたいと思いますので、終末期ケア専門士の皆様のご参加をお待ちしております。