がん悪液質へのケア~栄養療法~

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がん悪液質へのケア~栄養療法~

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がん患者の体重減少の要因

がん患者の体重減少の要因は「飢餓」と「がん悪液質」の大きく2つに分けられる。「飢餓」は消化管の閉塞や摂食関連症状(NIS)などにより食べられずに痩せてしまう状態、「がん悪液質」は代謝異常により食べても痩せてしまう状態のことである。どちらの要因が体重減少に大きく影響しているかは、がんの種類、病期、患者の体質により異なるが、どちらも早期の介入が重要になってくる。
飢餓はがん悪液質に比べて治療可能なものも多く、原因となる症状を緩和・排除することにより栄養状態の改善に期待ができる。がん悪液質の治療は悪液質のステージ(前悪液質・悪液質・不応性悪液質)により異なるが、がん悪液質であっても、飢餓による体重減少が併存し、治療可能な場合もある。





がん悪液質の治療法

がん悪液質のステージにより異なるが、主な治療法は栄養療法である。早期がんの患者の場合は消化管の通過障害などが見られなければ、経口摂取や経腸栄養など患者の病状に合わせて行う。がん終末期の患者の場合は点滴による輸液療法が主な治療法となる。(栄養療法を行う際、がんの種類や病期により悪液質の安静時の代謝エネルギー消費量は大きく異なるため、多職種による観察と個別の栄養処方を行う必要がある。)
栄養療法を行う上で、代謝異常が軽い前悪液質の栄養量に比べ、代謝異常が高度の不応性悪液質(いわゆるエンド・オブ・ライフ)の場合、積極的な栄養療法を行っても栄養改善や機能改善は期待されず、逆に代謝上の負担が大きくなり生体に有害になる可能性がある。そのため、不応性悪液質の場合は栄養投与量を減量し、場合によっては緩和医療や精神的サポートなどが必要になる。がん悪液質の病態には、多臓器・多要因がかかわるため、栄養療法だけではなく、運動療法・薬物療法・心理社会的介入を含め、患者の状態に合わせた集学的な治療とケアが重要となる。


身体的・精神的サポートが重要

栄養療法は、疾患に対する治療の継続とその人らしい生活を維持するための重要な支持療法の1つである。前悪液質・悪液質の状態で早期介入すると症状改善の可能性は高いが、不応性悪液質の状態になると有効な治療効果を得ることは困難な場合が多い。また、患者の高齢化やがん患者の多様化、さらには患者の身体的・精神的負担も大きく、治療がうまく行えない場合もある。患者に合った栄養療法を行うことで症状緩和やQOLを維持することができる。また、同時に身体的・精神的サポートを行うことが疾患に対する治療の継続、患者の安楽につながるのである。


引用参考文献
1) エンドオブライフケアVol.3 
2) がん悪液質ハンドブック2019 一般社団法人日本がんサポーティブケア学会他